「JALの不祥事続発」、元社外役員が根本原因を問う 「パイロットの飲酒」など問題はなぜ繰り返される?
JALは報告書で次のように自省している。「関係者全員が規定や他者の情報や判断だけに頼ってしまっており、当事者意識を持って自分自身がさまざまな情報を積極的に取り、考え、判断するという行動ができていなかった」。
極めつけは安全統括管理者である赤坂氏への報告が遅れたことだ。
機長らが過度な飲酒を認めたのは12月3日の夜。翌日、運航本部長と安全推進本部長は国交省に報告すべき「義務報告」には該当しないと判断し、社長の鳥取氏に国交省への報告は不要と説明した。
鳥取氏はその方針を了承したうえで、安全統括管理者である赤坂氏への報告を指示した。しかし赤坂氏への報告は12月5日。結局、国交省に報告されたのは翌6日だった。「飲酒事案は即日、安全統括管理者に報告が行くべき。対応が遅すぎる」と業界関係者は呆れる。
「管理ありき」「規定ありき」の弊害
JALは報告書で「社会の安全安心を捉える目線から速やかに報告を行うという判断をすべきであったが、こうした視座に立つことができず、義務報告に該当するかどうか、という専門的なルールに過度にとらわれてしまった」と反省している。
安全管理体制の構築や強化はこれまでも行ってきたはず。しかし、それがうまく機能していない。「管理ばかりを強化しすぎると、現場が自分で考える余地を奪ってしまう」。そんな八田氏の懸念が現実のものになってはいないか。「規定自体も規定作成の過程において、現場の実態や腹落ちを前提とした十分な吟味が行われていない」とJALも報告書で認めている。
社外役員の働きにも疑問符がつく。八田氏は「飲酒問題を複数回経験している社外役員もいるが、これまでどのような役割を果たしていたのか」と問う。小林栄三氏(伊藤忠商事・元社長)と久保伸介氏(監査法人トーマツ元代表社員)は、2018年も社外役員を務めていた。
「運航はパイロットやCA(客室乗務員)、整備士がお互いに信頼しあってワンチームで業務に当たらなくてはならない。経営トップは現場と膝を詰めて語り、信頼関係を築いてほしい」
八田氏の提言は普通の内容に聞こえる。裏を返せば、現在のJALが抱える病巣はそれだけ根深い。
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