日本で累計5万台「プジョー206」ヒットの要因 1998年に生まれたエポックメイキングな1台

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ステーションワゴンの「206SW」も忘れられない。

206SWはリアを195mm延長し、コンパクトなステーションワゴンとしたモデル(筆者撮影)
206SWはリアを195mm延長し、コンパクトなステーションワゴンとしたモデル(筆者撮影)

プジョーは伝統的にワゴンを多く用意してきたが、206SWではブーメランのような縦長リアコンビランプ、ピラーに埋め込んだリアドアオープナーなど、安価なワゴンとは思えないほどデザインに凝っていた。

CCは後継車の「207」やひとクラス上の「307」などにも設定され、SWは、現在も「308」や「508」のバリエーションとして健在だ。206はネーミングのセンスも光っていた。

WRCでの3連覇も人気を後押し

スポーツモデルでは、205で「GTI」がヒットしたのを受けて、206では「S16」や「RC」を送り出した。

「206RC」は177psの2.0リッターエンジンを搭載するホットハッチ。左ハンドルのみが販売された(筆者撮影)
「206RC」は177psの2.0リッターエンジンを搭載するホットハッチ。左ハンドルのみが販売された(筆者撮影)

ハッチバックの通常モデルのエンジンが、1.4リッターSOHC8バルブと1.6リッターSOHC8バルブ(途中でDOHC16バルブに変更される)だったのに対し、2.0リッターDOHC16バルブを搭載。ホットハッチの系譜を受け継いだ。

205に続いて、WRC(世界ラリー選手権)にもエントリーした。205の時代は、ミッドシップ4WDというグループB規定に合わせて生産されたマシンで挑戦しており、グループBが1986年で終了するとWRCを退いたが、その後のレギュレーションになったグループAに「WRカー(ワールドラリーカー)」という特例が生まれたことで、復帰に動いた。

大きく張り出したフェンダーや大型リヤスポイラーを装着するWRカー(筆者撮影)
大きく張り出したフェンダーや大型リヤスポイラーを装着するWRカー(筆者撮影)

このWRカーには、「全長4m以上」という規定があった。プジョーで言えば307がふさわしいサイズだ。しかし、ショートホイールベースのコンパクトなボディにアドバンテージがあると考えたプジョーは、206をベースに前後のバンパー大型化した「206GT」というバリエーションを用意し、レギュレーションをクリアした。

この作戦は成功し、競技仕様の「206WRC」は、スバルや三菱といった日本勢を相手に2000年から3年連続でマニュファクチャラーズタイトルに輝き、うち2000年と2002年は、ドライバーズタイトルを含めたダブルタイトルを達成している。

次ページ唯一の欠点はドライビングポジションにあり
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