大人が知らないゲーム『スプランキ』の複雑な背景 多くの熱狂と不幸を生み出したネットのトレンド

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もちろん、考察そのものは仲間内でやっていれば楽しいものなのだが、ウケた考察が幅広く認知された結果として、公式のものと勘違いされるケースもある。例えば日本では『ちいかわ』がよく考察の題材にされており「搾取の物語」などと言われるが、的外れである。しかし、そういった考察が、公式を退けて読者の読み取り方にすら影響を与えている状況だ。

流行になることが幸福につながるとは限らない

『スプランキ』は流行りすぎた結果、15歳の若者の手に負えない状況になってしまった。勝手に続編を名乗るものが出てきたり、2次創作でR18に該当する小説やイラストを描く人も出てきて、揚げ句になぜか制作者が誹謗中傷まで受けるようになった。『スプランキ』グッズもいろいろと見かけるが、あれは海賊版なのだろう。結局のところ、インターネットの大きなうねりが強すぎたのだ。

ファンアート
Googleで検索すればファンアートがたくさん出てくる。それ自体は健全な営みだとしても、R18なものもあるのは困ったものだ。元は15歳の人物が作ったゲームなのだから(画像はGoogle検索結果のキャプチャー)

しかも、NyankoBfLol氏は『スプランキ』を公開していたWebサイトのアカウントなどをハッキングされる被害まで受けてしまった。そういったさまざまな要因から、2025年1月24日(日本時間)時点でオフィシャルの『スプランキ』の公開は停止されている。

同様の事例はほかの作品にもある。ホラー男子と恋愛するアドベンチャーゲーム『文字化化』では、ヒットした結果としてユーザーから大量の質問・メッセージが届くようになり、個人制作者がその対応に疲弊して開発から離れてしまった。今後もユーザーの無邪気な働きかけが大きくなりすぎ、結果として制作者の負担となるケースが出てくるだろう。

NyankoBfLol氏は、ただ自分が楽しむために『スプランキ』を作って公開したと語っていた。しかし、それはブームとなり、文脈を置き去りにして、海の向こうの日本にもやってきている。

渡邉 卓也 ゲームライター

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わたなべ たくや / Takuya Watanabe

いわゆるテレビゲームを専門にコラム・評論などの記事を書くライター。大学卒業後はサラリーマンになったが、満足にゲームを遊べない環境にいらだちを覚えて転身。さまざまなメディアにゲーム関連の記事を執筆。駄作に対して厳しく書いてしまうことでも知られる。

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