「サツドラ」がシェアオフィスに懸ける深い事情 人口減に向き合うドラッグストアの事業とは?
北海道を中心にドラッグストアを展開するサツドラホールディングス。道内ではツルハホールディングスに次ぐ2位で食品に強く、生鮮品も扱っている。そんなサツドラが、東京で新事業に乗り出した。
それが会員制のシェアオフィス事業「EZOHUB」(エゾハブ)。企業や自治体、団体の職員などに広々とした共同のワーキングスペースやイベントスペースを提供する。
1972年の創業以来、50年以上にわたって北海道を中心に薬局やドラッグストアを展開してきた企業が、なぜ今新しい事業に挑戦するのか。背景には、北海道で深刻化する人口減少にどう向き合うのか、生き残りを懸けた会社の狙いがある。
人口減少に悩む地域に投資を呼び込みたい
2024年12月、東京・天王洲アイルのシェアオフィス「EZOHUB TOKYO」で北海道の魅力を紹介するイベントが開かれた。道内でスタートアップを支援する公益財団法人が主催し、地元の猟師や漁業者、農村ガイドなど6人が登場。それぞれの取り組みを紹介した。
北海道北部の羽幌町から参加した立花恵さん(49)は夫とともに地元で漁業を営んでいる。羽幌町の漁業は甘エビやホタテ、ニシンなどが中心だが、最近ではマグロやブリも獲れるようになった。町の名物にしようと、マグロ漁などに挑戦する人も出ており、新たな漁獲方法や設備を導入するため、資金を必要とする漁業者もいるという。
一方、町では急速に住民の減少が進む。現在の人口は約6000人。20年前と比べ3000人ほど減った。札幌市から車で3時間半かかることや、冬の寒さ、降雪も多く、人口の流出が止まらない。そうした事情もあり、町では新たな名物や特産品の開発が急がれている。
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