入念に準備したプレゼンはなぜ失敗するのか? 現場では「準備したことを忘れる」ことが大事
宇野はおもむろに立ち上がり、練習していたセリフを切り出した。
「今日はお忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます……」
コントロール思想は反対や批判を生む
この事例における宇野さんの準備はとても入念であり、その姿勢は何も問題はなさそうです。しかし、残念ながらこの会議は成功しない確率のほうが高いでしょう。
それは、なぜか。
宇野さんは、シナリオの実現にこだわりすぎて、現場の状態についての知覚が欠如している可能性があるからです。
皆さんも息苦しい会議に参加されたことは数多くあるはずです。その息苦しさを生み出す代表的な理由は、会議の主催者側が持つ強い「コントロール思想」です。
参加者を道具的に見なし、想定通りに動かそうとする。そして、もし想定外の発言があれば、拒否反応を示して排除しようとする。
皆さんの記憶を振り返ってほしいのですが、そんな会議に参加してしまった時の参加者の態度は2つしかありません。何も言わずに表面的に従ったフリをするか、徹底的にその会議のあり方を否定するか、です。
中途半端に疑問や意見などを提示しようとしても、否定されて気分が悪くなるだけですから、反応はいずれか極端にならざるを得ません。そして、この自分たちの業績がかかった営業戦略会議では、おそらくこの宇野さんのコントロール思想に対して、反対や批判という言動に出るでしょう。
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