「選挙の推し活化」と希望格差社会の因果関係 「希望なき社会」の選挙で何が求められるのか

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新たに出てきた、推し活の投票行動は、自分の利害関心やイデオロギーとは関係ないところで投票先を決める、つまりは、候補者や政党の「キャラクター」が「好き」かどうかが唯一基準であり、それらを当選させること自体が目的。つまり、自分が推した候補者が票を集めれば、自分の「好き」が肯定されたことになって満足する。彼らがどのような政策をするかどうかには、あまり関心がないというのが、実情ではないだろうか。

選挙の推し活化の背景にあるのは、いわゆる「無党派層」の増大である。無党派層は、基本的には、既存の中間集団に属していない、もしくは形式的に属していても、組織や団体の投票指示には従わない人々としておく。

近年には、伝統的な中間集団が衰退していることはよく言われている。労働組合の組織率低下は止まらないし、そもそも、労働組合から排除されている非正規雇用者の割合は増え続けている。業界を構成する伝統的自営業は衰退する一方で、ベンチャーやフリーランスなどが増えている。

宗教組織や政党組織も高齢化し、子供や孫の組織離れが目立つようになった。また、夫や親が組織に属していても、妻や子どもたちが組織の一員だという意識も失われつつある。

特に、組織離れは、若者や主婦やパートが多い既婚女性層などに顕著であろう。そして、アイドルやスター、アニメキャラクターやアスリートなどの「推し活」の主力は、まさに、伝統組織とは無縁の若者や既婚女性であることに注目しよう。

選挙の推し活化のプッシュ要因

選挙の推し活化が進むプッシュ要因を挙げてみよう。

まず、現代社会には、労働者対資本家といった大きな利害対立がないことが挙げられる。日本社会はもともと階級意識が弱いし、誰が当選しても、自分の生活が大して変わらないと思っている。

労働組合ではなく、自民党政府が企業に賃上げを要請する時代である。昨年の総選挙前に、私はある番組で各党の少子化対策を比較するという番組のコメンテーターをしたが、どの政党も少子化対策は必要で、高等教育費無償化などの方向性も一致している。ただその規模と速度と重点が少し違うだけであった。

特定の階層の利害を代表せず、国民全体の代表であることを標榜する政党が増えれば、それだけ政策の差はほとんどなくなるのだ。

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