ワタミと鳥貴族、勢いの差はどこにあるのか 「居酒屋離れ」に負けない経営手法はある

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縮小

一方、ワタミの居酒屋事業(国内外食事業)は前年度決算で売上高約600億円に対し、セグメント損失は約37億円。規模の違いはあれど、業績、店舗網とも縮小を続けるワタミと鳥貴族は対照的だ。

ワタミの居酒屋事業が苦戦している要因のひとつは、従業員の「過労死自殺」問題をめぐるブランドイメージの悪化がある。ただ、それだけで2社の勢いの違いは説明できない。2社の違いを分析してみよう。

浮き彫りになる2社の違い

まずは店舗ネットワークの効率性だ。鳥貴族は、大都市に集中的に店舗を展開している。出店している都道府県は全国10都府県のみ。名古屋駅から電車で30分圏内の岐阜駅近辺にすら店舗がなく、また駐車場が必要な郊外型店舗も少ない。

一方でワタミは、すべての都道府県において少なくとも1店舗は出店し、全国展開をしている。1店舗しかない都道府県は、青森、山形、石川、福井、富山、山梨、島根、鳥取、徳島、佐賀の10県を数える。この他、2店舗のみという県も複数ある。

こうなるとスケールメリットが逆作用することもある。たとえば県内に1~2店しかなければ、食材の流通効率は悪くコストがかさみやすくなるだろう。また、本部が店舗の接客、品質、衛生を管理するためのコスト、たとえば本部社員の交通費、移動時間がバカにならない。むしろワタミは「全国チェーン」という看板を維持するために、このような店舗ネットワークを形成しているようにも見えてくる。

鳥貴族は地域を絞り込んで集中的に出店するというドミナント戦略によって、ワタミとは逆のメリットが出てくる。本部からの支援や輸送態勢などを効率化できるワケだ。

次にメニューの効率だ。鳥貴族のメニューは、焼き鳥31種類、その他サイドメニュー37種類、ドリンク73種類だ。これに対し、ワタミのある業態を見ると焼き鳥約5種類、その他サイドメニュー約60種類、ドリンク約170種類、さらに宴会料理メニューが加わる(鳥貴族の宴会メニューは1種類)。特にドリンクメニューに著しい差がある。

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