字面だけ見れば、憧れの「男の隠れ家」だが、契約主である男性はこの部屋をうまく使いこなせていなかった。趣味のモノが置かれたスペース以外は、ゴミだらけだったからだ。足の踏み場もなく、電子ドラムも叩けなければ、ソファに座って映画を観ることもできない。
「(この部屋に住み始めてから)15年経っていますね。社宅がワンルームですごく狭くて、広い部屋に住みたいなと思ったらここがあったんです。2DKで46平米もあるので人を呼んだりとかもしたかったんですが、モノを置きすぎてしまってこの有様に」(男性)。
ゴミ屋敷の多くは住人のメンタルに起因している。よって、仕事やプライベートのストレスを発散する方法を持つことが大切になってくる。仮に職場で大きなストレスを抱えてセルフネグレクト状態に陥り、家がゴミ屋敷になってしまった場合、その職場と家を行き来していたのでは闇へ堕ちていく一方である。
だからこそ趣味はあるに越したことはないが、とはいえ多ければいいというわけではない。趣味の数が増えれば、必然的にモノの量は増えてしまう。ましてや、買い物がストレス発散になっている場合、モノを捨てないことにはまずゴミ屋敷になってしまうだろう。
1年以上も“空家賃”を払い続けていたワケ
部屋が散らかり始めたのは、コロナ禍が始まる少し前のことだった。近所の住人とトラブルになり、男性自身も精神的に病んでしまった時期があった。そんなときコロナ禍が始まり、勤めていた会社から在宅勤務を命じられた。
「ちょうどそのときにクーラーが壊れ、業者にも“直せない”と言われてしまい、しばらくはホテル暮らしをしていたんですけど、その間にこの部屋の存在にはあまり意識が向かなくなったというか。この部屋に住みたくなくなって、近所に新しい部屋を借りて引っ越しました。必要なものだけ持っていこうとしたら、収拾がつかなくなって。コツコツ自分で片付けるつもりだったんですけど、そんな気力もなく今に至ります」(男性)。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら