新しい部屋を借りたのが約1年前のこと。男性はそれからずっと空家賃を払い続けているが、それがずっと心のしこりになっていた。
玄関とキッチンを中心に空き缶やカップ麺の空き容器など、細々としたゴミが散乱している。壁紙も大きく剥がれたままだ。これだけ集めた趣味のモノも新居に持っていくこともなく、ずっと放置されている。冷蔵庫や洗濯機もまだ使える状態のまま置かれていた。

つまり、この部屋を維持したまま、新居でもほとんどの家具を買い直したことになる。誰の目から見ても「もったいない」の一言に尽きるが、どうしてこんなことになってしまうのか。男性から依頼を受け、この部屋の片付けを行った「イーブイ」代表の二見氏が話す。
「この住人の方もおそらく1回は引っ越し業者を呼んでいると思うんです。でも、引っ越し業者もこの状態では引き受けられないので断るはずです。かといって、自分で新居に荷物を運ぶこともできなければ、片付けることもできない。そうして、家具や家電を買い直し、次第に生活の主軸が新居のほうへ移っていったのだと思います」
お金に余裕があったり、ルーズな側面があったりすれば、さらにこのような状況に陥りやすい。経済的な余裕がなければ、当然、空家賃を払い続けることはできない。
雨が降るたびにビニール傘を買ってしまう人、損しているとわかっているのにスマホの料金プランを変更しない人。そういった些細なことを後回しにしてしまいがちな人は、損をする額が大きくなったとしても、問題をズルズルと先延ばしにしてしまう。

収納家具を買ってはいけない
現場に入ったスタッフは全部で6名。新居に移す荷物だけを残し、不用品をすべて処分する。作業日までに男性が仕分けをしてくれていたこともあり、片付けの予定時間はおよそ3時間とあっという間だ。
部屋を見回すと、もともと設置されている収納スペースが少ないことに気がつく。そのため、スチールラックや組み立て家具がいくつも置かれているが、この「収納家具」がゴミ屋敷を生み出す要因の1つだと二見氏は考えている。

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