新国立競技場、ゼネコン「受注合戦」の内実

利益よりも名誉?選考に不透明さも

「デザインだけでなく、特に工期を守るために労務関係の手当などを含め、ある程度固まっていなければ(18日に締め切った参加表明に)手は挙げられない」(ある大手ゼネコン幹部)。手を挙げたのはそれなりの勝算があるからだろう。今回、参加表明をしたチームの顔触れをみると、それぞれに優位性がある。

旧国立競技場の工事や、白紙となった前計画に参画していた大成建設チームは、技術者など労務関係の手当てだけでなく、一部資材の発注まで先行していただけに、有利とみられる。

人繰りの調整が問題

これに対して竹中工務店・清水建設・大林組のスーパーゼネコン3社連合は、技術力、過去の実績などからみて、大成建設と互角以上に闘える布陣といえる。

清水建設は前計画の技術評価で、スタンド部分は大成建設に次いで、屋根についても竹中工務店に次いで2位と悔しい思いをした。大林組はシドニー五輪スタジアムの建設など実績がある。竹中工務店は前計画ではスタンドの屋根部分を担当することになっていたが、「屋根部分は技術的には難しくても、あまり人手がかからない」(建設業界関係者)ことから、労務者の手当はあまりしていなかった。

このスーパー3社が連合を組んだ理由は、人繰りの調整にある。3社ともにすでに抱えている工事が豊富にあり、1社だけで国家プロジェクトに参画するには、現場の技術者をはじめ、熟練工などの確保に問題がある。工期が間に合わないという失態は許されない。リスクを減らすためにも、3社で分担していこうという判断だ。

最終的にどこに決まるのか、予断は許さないが、「上限1550億円で新国立競技場建設とその周辺整備を行うわけだから、おいしい仕事とはいえない」(あるゼネコン幹部)。「利益よりも名誉」をかけた戦いといえそうだ。

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