新国立競技場、ゼネコン「受注合戦」の内実

利益よりも名誉?選考に不透明さも

だが新国立競技場の建設は、多額の税金がつぎ込まれる事業だ。さらに今回の騒動で国民の大きな関心事にもなっている。また、デザインビルド方式なったことにより、建築家や設計事務所は単独で参加できなくなったことに対する批判もある。説明責任という観点からも、より透明性を高めるべきという考え方はあるだろう。

新国立競技場の前整備計画は、2012年に行われたデザインコンクールから3年にもわたって進められてきたものだった。その間、建設費が当初の試算1300億円から一時は3000億円超にまで膨れあがった。規模を縮小するなどして一度は2520億円で決着しそうになったが、「国民のみなさんやアスリートからも大きな批判」(安倍首相)があり、白紙撤回となった経緯がある。

文部科学省やJSCがやり玉に挙げられ、デザイン選考や建設事業者の選定、見積額などの不透明さから、ザハ氏のデザインや工事を請け負うゼネコンまでも批判の対象になった。そこで政府は費用の積算根拠や責任の所在などを明らかにするため、第三者検証委員会を設置し、協議を進めている。

ポイントは価格と工期

今後最大の焦点は、参加を表明した2チームが実際のデザインや設計、建設スケジュールなどを提出する「技術提案」だ。11月16日に締め切られる。技術提案の評価は140点満点で行われる。項目は大きく分けて3つで、1.実施方針(20点)、2.コスト・工期(70点)、3.実施計画(50点)。もっとも高い評価を得た事業者が受注をすることになる。

中でも「事業費の縮減」(上記2のうち30点)と、「工期短縮」(同30点)の配点が高い。新計画では総工費の上限が1550億円と決められており、どこまで事業費を抑制できるかが大きな評価対象となる。同時に、完成期限は2020年4月30日までだが同年1月への前倒しが求められており、工期短縮向けた施工・管理体制なども重要だ。

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