【産業天気図・証券業(ネット専業)】株式委託手数料収入伸びず、収益は反落

天気は当面「雨」模様。昨年下期の相場活況が嘘のように、今06年度の株式売買は冴えない。大手5社による手数料引き下げ競争は一服し、カブドットコム証券<8703.東証>のように夜間取引市場を開設する動きが出るなど、競争のステージは第2段階に突入しつつある。しかし、ネット専業証券の主要な収益源である株式委託手数料は低迷を続け、大手5社の個人株式委託売買代金シェアは、シェア増加組(SBIイー・トレード証券<8701.JQ>、楽天証券、カブドットコム証券)と減少組(松井証券<8628.東証>、マネックス・ビーンズ・ホールディングス<8698.東証>)とで明暗が分かれた(06年9月中間期での前年同期比較)。このまま推移すれば、業界再編にもつながりかねない。
 こうした厳しい状況を踏まえ、楽天証券を除く上場4社の業績見通し(会社側は非公表)について『会社四季報』最新号(07年1集新春号)では従来予想を引き下げた。シェア首位のSBIイー・トレード証券の9月中間実績は増収増益を確保したが、営業利益、純利益とも通期については予想数字を下げ、減収減益へ反落すると見ている。6月から8月にかけ、手数料引き下げキャンペーンを実施し、9月からは平均20%引き下げる手数料体系を採用。手数料率(委託手数料÷委託売買代金)は3.5ベーシスと、相当低い水準にまで低下している。今第2四半期(7~9月)の個人株式委託売買代金シェアは3割を超え、会社側は手数料引き下げ競争はほぼ終結したとの認識で、今後は金融収支の拡大や引受・募集・売出手数料、債券販売など収益源の多様化が課題になる。
 一方、シェア3位の松井証券は収益・シェアとも首位のイー・トレードに大きく水をあけられている。このため『四季報』予想を大幅に見直し、04年度の利益水準にまで落ち込むと改めた。同社は看板でもある無期限信用取引に関わる手数料を9月に一度無料にしたが、12月に再び有料に戻すなど、やや迷走気味だ。
 今後の焦点の一つは、手数料率競争に代わる付加価値競争だ。カブドットコム証券が9月から夜間取引市場を開設したが、取引は低水準で、昼間の口座開設への好循環が生まれているとは言い難い。イートレードや松井も夜間取引市場の開設準備を始めているが、やはり手数料収入拡大につなげられるかが焦点になる。
【山田徹也記者】


(株)東洋経済新報社 会社四季報速報プラス編集部

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