「トランプ関税は怖がらなくてもいい」は本当か あまり楽観的になるのだけは避けたほうがいい
やはり、公約の中でいちばん実現の可能性が高いものは、恐らく所得税減税の恒久化や法人税引き下げといった、減税政策だろう。トランプ次期大統領は昨年12月12日、NY(ニューヨーク)証券取引所を訪問、取引開始を告げるベルを鳴らすセレモニーを行った。
金融業界への規制緩和実現なら株価は一段と上昇も
その際、あらためて減税案を説明、法人税を現行の21%から15%に引き下げる計画を示したほか、金融商品などを売却して得られるキャピタルゲインと配当への課税引き下げも検討しているとした。
減税はどのようなものであれ、市場には歓迎されそうだ。これは議会の承認を必要とするが、減税は共和党の方針ともおおむね一致するものであり、上下両院を共和党が制している状況下でなら、すんなりと可決されそうだ。
もちろん、大規模減税は財政赤字の拡大を招き、長期金利を一段と上昇させるという副作用もある。減税で景気が刺激され需要が高止まりを続ければ、インフレ圧力が改めて高まることも考えられよう。
もっともこうした問題は、ある程度時間が経ってから出てくるものであることも確かだ。市場の初期反応はやはり、かなり強気になるのではないか。また、さまざまな規制緩和についても、議会の承認を必要としないものが多いだけに実現の可能性が高いと思われる。
すでに期待が高まっているが、特に銀行や証券取引に対する規制緩和が実現するなら、投機資金の流入を促すことなどで、株価をしっかりと押し上げそうだ。民主党政権下では、厳しい規制が進められてきただけに、金融業界が諸手を挙げて支持することは間違いない。
一方でこうした規制の緩和は、行きすぎればモラルハザードを引き起こし、巨大なバブルを作り出し、それを崩壊させてしまうリスクも高いのだが、減税同様、そうしたマイナスの影響は、かなり後になってからしか出てこないのが実際のところだ。
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