免税事業者に圧力?「インボイス制度」導入の背景 いまさら聞けないインボイス制度の超基本(上)

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小山:だから本来、消費税を受け取った事業者は、「消費税を一時的に預かっている」だけ。税金徴収の代行者として。

:ということは……企業はちゃんと消費税を国に払っているんですか?

小山:年1回か、年2回、年4回、年12回でちゃんと払っています。で、こうやって預かった消費税を納税する事業者のことを「課税事業者」っていうんです。法人でもフリーランスでも、年間の売上が1000万円を超えた年の2年後は自動的に課税事業者になります。

(図表:大和書房提供)

:で、免税事業者は……。

小山:お客さんから預かった消費税を納税せず、売上として計上していいんです。こちらは逆に、年間の売上が1000万円を超えない小規模事業者が対象。小さな文房具屋さんなら、郷さんが支払った10円が店主の晩酌代になっている可能性は大いにあると(笑)。

免税事業者に対して「間接的に圧力」

:ということは……国は「インボイス事業者」って格好いい名前をつけていますけど、実質的には「課税事業者」のことじゃないですか。

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『YouTuber公認会計士がギリギリまで教える フリーランスになったらまっさきに読むお金と税金の話』(大和書房)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

小山:そうなんです! ただ免税事業者の制度を強制的になくしたら自民党は選挙で落ちるだろうし、そうかといって、「国の予算がピンチなんです! みんな課税事業者になってください! ご協力お願いします!」って言ったところで免税事業者は聞く耳を持たないですよね。

:当たり前です(笑)。

小山:だから「インボイス制度」という、免税事業者に対して「間接的に圧力がかかる仕組み」を導入したと解釈すると、この制度の理解が進むと思います。

後編:インボイス制度を導入しないと損する職種があるってホント?

小山 晃弘 税理士法人小山・ミカタパートナーズ代表

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こやま あきひろ / Akihiro Koyama

YouTuber公認会計士。同志社大学卒業後、有限責任監査法人トーマツで勤めたのち、独立。「型破りな会計士」としてYouTubeでは熱狂的なファンに支えられ、再生回数は異例の1000万回を超える。母校でもある資格の学校TACで、あこがれの人気講師として活躍中。

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郷 和貴 ブックライター

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ごうかずき / Kazuki Go

教育書、ビジネス書、実用書のブックライター。1976年東京生まれ。アメリカ・ニュージャージー育ち。早稲田大学第一文学部哲学科人文専修卒。「駐在夫」としてアメリカでの子育ても経験。現在は東京在住。

国産OSメーカーでのエンジニアとしてのキャリアを皮切りに、アメリカ半導体メーカーの技術営業、イベントプロダクションのプロジェクトマネージャー、雑誌編集者など多彩な職種を経て2014年に独立し、本の世界に入る。

教育、IT、ビジネススキル、自己啓発、コミュニケーション、投資・資産運用、政治など幅広いテーマをカバー。執筆活動ならびに出版社の依頼による編集協力業務(取材、構成、ライティング、リライト、翻訳、リサーチなど)を精力的にこなす。「普段、本を読まない人でも理解できる文章を書くこと」が信条。

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