輪軸不正や脱線、2024年「鉄道トラブル」事件簿 大事故には至らなくても信頼揺るがす事態に
東海道新幹線でも、大規模な運転見合わせを伴う事故が発生した。7月22日未明、豊橋―三河安城間で保守用の車両が別の保守用車両に衝突して脱線。撤去に時間がかかり、浜松―名古屋間は終日不通となった。また、事故ではないものの9月には山陽新幹線で保守用車両が動かなくなり、広島―小倉間が約5時間半不通となるなど、保守作業に関連したトラブルが目立つ。
9月19日には、東北新幹線「はやぶさ」E5系と秋田新幹線「こまち」E6系が走行中に分離するという前代未聞のトラブルが発生した。原因は、連結器を分割させるスイッチ付近に金属片があり、スイッチの端子が短絡したためとみられる。自動でブレーキが作動し列車は両方とも安全に停止したが、時速315kmで走行する新幹線の連結器が外れて分離するというトラブルは利用者に不安感を抱かせた。
脱線や衝突ではないものの、重大な事故にもなりかねないトラブルだったといえるのが、3月6日に発生した山形新幹線「つばさ」のオーバーランだ。郡山駅に到着の際スピードが下がらず、本来の停止位置を約520m行き過ぎて停車した。同駅では2022年にも同様のトラブルが起きている。JRは調査結果で積雪のほか、滑走を検知して車両のブレーキを緩める「滑走制御」により「ブレーキ力の低い状態が長く継続した」ことが原因としている。
貨物列車脱線から全国に飛び火「輪軸不正」
夏以降、貨物列車の脱線事故も相次いだ。7月には山陽本線の新山口駅で、貨物列車を牽引していた機関車の車輪のうち1軸が脱線。11月には函館本線の森―石倉間の踏切で機関車1両・コンテナ貨車20両の貨物列車のうち貨車5両が脱線する事故が起きた。さらに12月には、鹿児島本線の川内駅で機関車とコンテナ貨車が脱線。この事故の影響で同線の川内―隈之城間は不通が続き、再開は12月31日になる見込みだ。
函館本線の事故はレールの腐食が原因とみられ、鹿児島本線の脱線は現在も調査が続いている。だが、中でも鉄道の信頼を揺るがすこととなったのは、7月の山陽本線の事故から明るみに出た、車両の走行にかかわる「輪軸」組み立て作業時のデータ改ざん問題だろう。
山陽本線新山口駅の事故では、脱線した機関車の輪軸が折れていたことが判明。その調査の過程で、車輪に車軸をはめ込む際に基準値を上回る圧力をかけていたにもかかわらず、基準値内のデータに差し替えて記録するなどの不正がJR貨物の3つの車両所で行われていたことが判明した。
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