改めて、この西短MP学科さくら組とはどういった立場なのか考えると、サークル活動ではなく学科のアイドル。しかし、プロのライブアイドルではなく、あくまでも学生アイドルである。
このあたり詳細は学科長で教授の今木清志氏に詳細を聞いたので、後編の記事(短大生が「学科アイドル」になって起きた衝撃変化)で述べさせていただく。
いずれにしても、アイドル活動そのものを「学び」として捉え、将来への道を作るためのものとして考えるところに面白さがある。
先ほどの北島さんのように、一般企業に就職を考えている学生もいれば、4年制大学に編入する学生もいる。さらにアイドルの道を極めるべく、そのままアイドル活動を続ける学生もいる。
あやかさん(2年生)は福岡のご当地アイドル「博多ORIHIME」のメンバーとして、卒業後もアイドルを続けることが決まっている。
「キラキラしているだけがアイドルじゃないということを、この2年間すごく感じ学びました。歌って踊って笑顔でいるってことはすごく大変で、どれが抜けていてもだめです。でも、どれだけ磨いても完成はしないし、アイドルは奥が深いです。今は何よりもお客さんをもっともっと笑顔にさせたいと思って、(卒業後も)プロのアイドルになることを選びました」(2年・あやかさん)
あやかさんは地元でアイドルを続ける決断をしたわけだが、学びとしてのアイドル「西短MP学科さくら組」は決してアイドル予備軍でもなくプロのアイドル育成の場でもない。
はたして「アイドル育成学科」なのか
取材前は私自身も、ともすれば「アイドル育成学科」なのではないかという考えもあったが、取材を通して決してそうでないことがよくわかった。
彼女たちはプロではないので、決してファンの動員数や売り上げを競ったりはしない。しかし、人前に出てパフォーマンスする以上は、決して手を抜くことはなくしっかりとアイドルとして演じきる。
アイドル未満と言ってしまえばそれまでだが、学科ではアイドルに必要なことを実技や座学を通して学んでいる。
声楽、演劇論、モデルウォーキングとさまざまだ。
通常のアイドルは、ライブをメインに空き時間にダンスレッスンやボイストレーニングが入るところが精いっぱいだが、彼女たちはあくまでも短大生。学ぶことがメインなので、芸能に必要な科目を履修して取り組んでいるというわけだ。
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