ソニーVSキヤノン、ミラーレスカメラで頂上決戦 今冬商戦で初めて旗艦モデルがガチンコ勝負に
スポーツ写真などに使うプロ向け機材では従来、キヤノンとニコンがシェアを分け合ってきた。特に、世界中のプロカメラマンが集まる五輪では、キヤノンの白いレンズ、ニコンの黒いレンズが並ぶことから「白黒戦争」と称されるシェア争いを展開してきたが、そこにソニーが割って入ってきたことが鮮明になっている。
キヤノンも満を持して旗艦モデル投入
一方、キヤノンもついにミラーレス一眼で初めてのフラッグシップモデル「EOS R1」(108万9000円)を2024年11月に発売し、ソニーへの追撃態勢を整えた。2018年からミラーレス一眼ブランド「EOS Rシステム」を展開してきたが、フラッグシップモデルはデジタル一眼レフなどに限られていた。カメラ事業などを統括するキヤノンの戸倉剛副社長は「100点満点ではなく120点の完成度を狙って作り込んでいる」と自信を示す。
キヤノン最高の性能と信頼性をコンセプトに開発され、スポーツなど動く被写体に対する高いオートフォーカス性能が特徴だ。キヤノン製品を長年愛好するカメラマンは「待ちに待っていた。発売日に2台購入した」と語るほどの熱狂ぶりだ。両社のフラッグシップモデルが出揃った今冬商戦は、まさにキヤノンとソニーの一騎打ちの様相だ。
もっともソニーは中高級機種のミラーレスに特化しているが、キヤノンは初心者からプロ向けまで幅広い製品ラインナップを展開するカメラ業界の巨人だ。ソニーとのシェア争いについて、キヤノンの戸倉副社長は「業界にとってはバランスのいい競合がいることは重要。切磋琢磨していきたい」と余裕を見せる。
2023年のデジタルカメラの世界生産台数シェア(テクノ・システム・リサーチ調べ)はキヤノンが46%でトップの座を堅守している。2019年にニコン(シェア11%)を抜き、2位に浮上したソニー(同27%)との差はまだ大きい。
デジカメ総出荷台数は2024年1〜10月に700万台(前年同期比7.9%増)と増えたが、その多くはミラーレスが牽引しており、465万台(前年同期比14.5%増)を占めている。キヤノンは今後、「EOS R1」を新たなシリーズの「顔」と位置づけ、ミラーレスでもプロ向けで磨いた高水準の技術を下位モデルへ還元させていく方針だ。
一方、これまでキヤノンの好敵手だったニコンは、パリ五輪で対抗馬となるフラッグシップモデルを発表しなかった。同社が最高級とするミラーレス一眼「Z 9」発売から3年が経った中、新たな製品投入で巻き返しできるかが注目される。
2025年のカメラ頂上決戦はどうなるか。新たな戦いの幕が開ける。
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