自民党は果たして、「ニュー自民党」に生まれ変われるか

自民党は果たして、「ニュー自民党」に生まれ変われるか

塩田潮

 通常国会が明日、開幕する。

 本格的な衆参ねじれの通常国会は2008年以降、10年を除いて5年間で4度目だが、「決まらない政治」が常態化した。政治の機能不全による「無力な日本政治」という悲劇的な状況が続いている。「無力政治」克服について、民主党政権と野田首相に言いたいことは山ほどあるが、自民党にも注文がある。

 谷垣総裁は1月22日の党大会で、与野党協議拒否と早期総選挙要求を唱え、対決路線を改めて鮮明にした。政党支持率調査で民主党と並び、総選挙をやれば政権奪還可能と算盤を弾く。9月の総裁任期満了を控え、再選戦略も働く。

 一方、野党2年5カ月で政党交付金や寄付金ががた減りとなり、総選挙が遅くなるほど、兵糧が尽きるという台所事情も影響している。

 総選挙の予測はむずかしいが、「民主党敗北、自民党も勝てず」となる可能性が高い。与党時代から大きく脱皮した「ニュー自民党」で勝負しなければ、「敵失」以外、勝ち目はなさそうだ。「ニュー自民党」には、新しい基本構想と日本の将来像の提示、人材の大幅入れ替え、それに「無力政治」の克服策の用意が必要だろう。

 経験豊富な自民党は自力再生の潜在能力はあるはずだが、発想の転換、痛みを伴う大きな決断が不可避である。

 「無力政治」の克服策が欠かせないのは、仮に自民党が政権奪還しても、参議院では86議席の自民党は公明党の19議席と合わせても過半数に17議席、不足し、逆の衆参ねじれとなるからだ。「決まらない政治」が続き、いつまでも「無力政治」の克服が課題となる。

   谷垣自民党は対決路線堅持だが、「対決は政党政治の正常な姿」という見方は間違いではない。だが、イデオロギーや政治体制をめぐる対立の時代は終わり、いまや自民党も民主党も大きな政治選択では価値観を共有している。

 外交路線、財政の将来像、二院制のあり方、環境やエネルギー問題といった「大きな政治」では不毛の対決を避け、利害調整も含めた政策の各論で与野党が競い合うのが「新しい政党政治」の形ではないか。

 「ニュー自民党」が「無力政治」克服の主役を担うなら、代議制民主主義の再生も夢ではない。
(写真:尾形文繁)
塩田潮(しおた・うしお)
ノンフィクション作家・評論家。
1946(昭和21)年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
処女作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師-代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤の真実』『日本国憲法をつくった男-宰相幣原喜重郎』『「昭和の怪物」岸信介の真実』『金融崩壊-昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『出処進退の研究-政治家の本質は退き際に表れる』『安倍晋三の力量』『昭和30年代-「奇跡」と呼ばれた時代の開拓者たち』『危機の政権』など多数
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