「XRヘッドセット」を親が子に与える深刻事情 日本とは異なる独自の発展を遂げる「英語圏」

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これは、デジタル技術が私たちの生活様式や子育ての形を変えていく一つの象徴的な例といえるだろう。安全性への関心が高まる現代社会において、仮想空間が果たす役割は、今後さらに重要性を増していく可能性がある。

次世代を形作るXRネイティブの台頭

デジタルネイティブ世代にとって、XRデバイスがより自然なコミュニケーションツールとして受け入れられている可能性が考えられるなか、投資会社Piper Sandlerが2024年春に実施した調査で、アメリカの10代の3分の1以上(33%)がXRヘッドセットを所持していることが明らかになった。この数字は、XRデバイスが若年層の間ですでに一般的なツールとなりつつあることを示している。

この現象は、「XRネイティブ」とも呼ぶべき新しい世代の誕生を示唆している。幼少期からXRデバイスに触れ、仮想空間への出入りを日常的な行為として育つ彼らは、従来のスマホネイティブとは異なる特性を持つ可能性がある。

アバター
アバターを使うため、話している相手の年齢、性別、国籍はわからない。XR技術を用いたメタバースコミュニケーションは、多様性を重んじる考え方が生まれる場となるかもしれない(筆者撮影)

スマホネイティブが持つ特性としては、デジタル機器への高い親和性、オンラインコミュニケーションへの自然な適応、効率的な情報検索・発信能力、多様性への寛容さといった点が挙げられるが、XRネイティブは仮想空間での直接的なコミュニケーションという新しい体験を通じて、さらに進化した特性を獲得していく可能性がある。3次元空間での自由な交流や、世界中の人々とのボイスチャットを通じた即時的なコミュニケーションは、従来のテキストベースの交流とは質的に異なる経験をもたらすだろう。

このような新しい感性を持つXRネイティブは2025年、ますます台頭するだろう。今後の社会に大きな影響を与える可能性がある。物理的な距離や文化的な障壁を超えた交流が当たり前となる中で、彼らが創造する新しい価値観や社会規範は、私たちの想像を超えるものとなるかもしれない。

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武者 良太 フリーライター

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むしゃ りょうた / Ryota Musha

1971年生まれのガジェットライター。90年代に出版社勤務の後、フリーライター/カメラマンとして独立。スマートフォン、モビリティ、AI、ITビジネスからフードテックなど、ハードウェアレビューから、ガジェット・テクノロジー市場を構成する周辺領域の取材・記事作成を担当する。元Kotaku Japan編集長。

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