令和ロマンくるま語る、賞レースと寄席の決定的差 「ネタのクオリティ」よりお客さんとのマッチ度

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一方寄席は寄席で、師匠や、ほぼ師匠のような芸歴の先輩方が「背中で語るスタイル」でお送りしているので、そのテクニックの継承みたいなことはされづらく、寄席の漫才とM-1の漫才が離れていってしまってんのか。まずいじゃないか。

ちょっと、いったん僕の解説で理解してもらっていいかな? 東京生まれで漫才ネイティブでも何でもない僕なんだけど、3年目くらいから寄席に駆り出されて、そこでスベりにスベりまくって、それでも何とかするために誰よりも先輩方のネタを袖から勉強したマンなので、ジェネリック・ジェネリック・ジェネリック師匠だと思ってもらって話を聞いてほしい。

ウケるためのマーケティング

まず共有しておきたいこととして、寄席で需要なのは「ネタのクオリティ」より「お客さんとのマッチ度」だということ。初見のお客さんというのは必ずしも好意的ではなく、「本当にお金を払っていただいたんですよね?」と思ってしまうほど敵意剥き出しのときもある。とにかくお客さんの様子を見ることが大事だ。

例えば、客席に子どもが多かったら、その子たちに話しかけると親だけじゃなく周囲の大人たちが100パー和んでちょっとウケる。でもかなりバブバブだった場合、泣いちゃうので触れざるを得ない。そうなるとガッツリコントに入るネタや長いボケは中断のリスクがあるから選ばない。いつ泣いてもいいように警戒しながらポツポツとボケていく。

たまにお子様がギャン泣きしちゃって、流石にいたたまれなくなったお母さんがお子を抱えて出ていく背中を見ると、「何とか泣き止ませてあげたかった……さらばだ……!」という気持ちでいっぱいになる。

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