大江戸線「光が丘の先」延伸計画は進んでいるのか 整備の「優先度上位路線」だが動きが見えない
大泉学園町というと、西武池袋線の大泉学園駅を思い起こす人が多いだろう。だが、同駅がある地域は「東大泉」で、大泉学園町はその北側。新駅の予定地周辺から同駅へは直線距離で約2km、バスで十数分かかる。

練馬区の推計では、大江戸線が延伸開業した場合、大泉学園町駅付近から新宿駅までの所要時間はバスと西武池袋線を乗り継ぐ現状と比べて19分短い31分、池袋駅へも12分短い30分になるとしている。区都市整備部大江戸線延伸推進課の担当者は「『大江戸線はいつ来るんだ』と、地域の方々の期待感は大きい」と語る。区は延伸によって沿線地域の人口が約2.1万人増えると試算しており、人口増加にも期待する。

「優先度」は高いが…
大江戸線の光が丘―大泉学園町間は、東京圏の数ある新線構想の中でも比較的優先度が高い区間に位置づけられてきた。
2015年7月に東京都がまとめた交通ネットワークに関する計画では「整備について優先的に検討すべき」5路線の1つとされ、翌2016年に国の交通政策審議会がまとめた答申でも「導入空間となりうる道路整備が進んでおり、事業化に向けて関係地方公共団体・鉄道事業者等において、費用負担のあり方等について合意形成を進めるべき」とされた。
実際に、地下に線路を通す予定の道路の用地確保や整備は進んでいる。延伸区間全体の用地確保率は2024年3月時点で約88%。道路がすでに開通している土支田地区では、将来の土支田駅(仮称)予定地が広場として整備済みだ。大泉町駅(仮称)の駅前広場予定地も東京外環自動車道の上部に確保されている。

2016年の答申では、東京圏の24の新路線プロジェクトの中で「進めるべき」とされたのは大江戸線を含めて6つ。ほかの5つはJR羽田空港アクセス線、有楽町線豊洲―住吉間、多摩都市モノレール延伸(箱根ケ崎方面と町田方面)、新空港線(蒲蒲線)矢口渡―京急蒲田間、横浜市営地下鉄ブルーラインあざみ野―新百合ヶ丘間だ。
このうち、JR羽田空港アクセス線と有楽町線豊洲―住吉間はすでに工事に着手。多摩都市モノレールの箱根ケ崎延伸も今年7月に軌道事業の特許を申請。新空港線も国土交通省が2025年度予算案の概算要求で整備に向けた調査・設計費用を計上した。6つのプロジェクトに入っていない南北線の品川延伸も工事が始まっている。
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