トップ人事を通じた金融政策の支配
異次元緩和は黒田東彦が日銀総裁に任命されたことで実現した。著者は、トップ人事を通じて金融政策が政治にコントロールされる危険を厳しく追及する。
▼著者に聞く
本書の前に『官僚たちのアベノミクス』から始まる新書3部作を書いた。執筆中ずっと気になっていたのが日銀の総裁人事だ。
安倍晋三政権は、「都合のよい人物をトップに据える」というやり方で、日銀の独立性を揺るがした。法律にも憲法にも違反しない形で行われたが、日銀法の精神とは相いれないだろう。違法とはいえないが、決して望ましいものではない。その出来事の意味をどう理解するべきか、自分なりに検討していこうと考えた。
理論の書ではない。ジャーナリストにとって、何より重要なのはファクトだ。関係者に話を聞き、文書を細かく確かめ、ファクトファインディングをしなければ議論が始まらない。「総裁任命」という象徴的な出来事は、多くのプロセスが積み上がった先で起きている。それを感じてほしい。
▼推薦コメント
1998年の新日銀法施行で独立性を付与されたはずの日銀は、官邸による「総裁・副総裁人事」という形で政治への従属性を高めていった。それは今日も弊害をもたらしている。今まで皆が何となく感じながら、明確に言えなかったことを喝破している。(吉崎達彦)
単純に面白い。「人事を通じた政治と日銀の関わり」の舞台裏がドラマチックに解説され、小説のように味わえる。(足立正道)
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