機械との接合、「ハイブリッド・ヒューマン」の物語 『ハイブリッド・ヒューマンたち』など書評4点

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ブックレビュー『今週の4冊』

 

[Book Review 今週のラインナップ]

・『ハイブリッド・ヒューマンたち 人と機械の接合の前線から』

・『人事と権力 日銀総裁ポストと中央銀行の独立』

・『オーウェル『動物農場』を漫画で読む』

・『歴史文化ライブラリー607 妖怪を名づける 鬼魅の名は』

『ハイブリッド・ヒューマンたち 人と機械の接合の前線から』ハリー・パーカー 著
『ハイブリッド・ヒューマンたち 人と機械の接合の前線から』ハリー・パーカー 著/川野太郎 訳(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

評者・医療社会学者 渡部沙織

両脚の大部分を失い、義足を装着しているという。名門ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンで美術史を学んだ後、イラク戦争とアフガニスタン紛争で英国陸軍に従軍し、アフガニスタンでIED(即席爆発装置)を踏んで大怪我を負った。

著者は自身を障害のある人ではなく「ハイブリッド・ヒューマン」と呼ぶ。それは人間とロボット工学、AI、先端医療技術などが接合し融合した、新たな人の身体のアイデンティティーを意味している。本書は、著者自身の経験と、支援テクノロジーの周縁にいる人々の物語によって構成されるエッセーだ。

機械や人工物と融合していく人体 清濁併せのみ抱く、未来への希望

機械や人工物と人体の融合は、医療において、もはや珍しいものではない。歯科インプラントやコンタクトレンズなど身近な機器から、パーキンソン病患者の皮下と脳内に神経刺激装置を埋め込むDBS(脳深部刺激療法)、再生医療技術を用いた輸血用人工血液や人工臓器の開発まで、挙げればきりがないほどだ。著者自身も耐えがたい幻肢痛や疼痛(とうつう)治療に苦しみながら、支援テクノロジーを「生きて成長するうえで不可欠なもの」だと感じてきた。

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