経験は有益だが、時に「経験バイアス」という罠に 『経験バイアス』など書評4点

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ブックレビュー『今週の4冊』

 

[Book Review 今週のラインナップ]

・『経験バイアス ときに経験は意思決定の敵となる』

・『大統領たちの五〇年史 フォードからバイデンまで』

・『「ハラスメント」の解剖図鑑 アウトorセーフの「境界線」と「根拠」がわかる!全48種のハラスメントを完全網羅』

・『ナットとボルト 世界を変えた7つの小さな発明』

『経験バイアス ときに経験は意思決定の敵となる』エムレ・ソイヤー、ロビン・M・ホガース 著
『経験バイアス ときに経験は意思決定の敵となる』エムレ・ソイヤー、ロビン・M・ホガース 著/今西康子 訳(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

評者・精神科医 熊代 亨

私たち人間は経験を通して学習し、いろいろな環境に適応してきた。ところがその経験が罠(わな)になってしまうこともある。その罠とは表題となっている「経験バイアス」で、本書はその詳細を記したものだ。

遠い昔に出来上がった性質 有益だが「罠」となることも

人間は経験を通して自転車の運転やスポーツのコツなどを身に付けられる。また、人間は物語性のある経験からはより簡単に知識を吸収できる。著者は、経験から得られるそれらのメリットを否定しているわけではない。

しかし経験だけでは学べないこと、かえって間違えてしまうこともある。例えば地球が丸いことは日常の経験だけではまずわからないし、大地震や株の大暴落のようなめったに起こらない出来事への備えは、経験頼りでは甘くなってしまいがちだ。

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