実は知られていない平均的な氷河期世代像
就職氷河期世代の雇用や賃金、家族形成、世代内格差などを統計的に分析し、「氷河期世代像」を更新する。著者は本書のために新たな論文2本を書き上げたという。学術的意義も大きい一冊。
▼著者に聞く
自分自身も氷河期世代で、この世代の不遇に対してはいろいろな思いがある。一方でメディアに登場する氷河期世代が、極端に困難な状況に置かれた人や、この世代の中で社会的に成功した人に偏りがちなのは、気になっていた。
本書は「平均的な氷河期世代の姿」をデータで捉え、事実を伝えることに徹した。すると、氷河期世代の雇用が不安定で年収が低いことのほか、「氷河期世代で出生率は下げ止まっていた」「非正規雇用率は下の世代も同じくらい高い」など意外な現実も見えた。
昨今、「社会保障を削減し、手取りを増やせ」という主張が勢いを増している。だが、氷河期以降の世代が老親の介護に直面し、セーフティーネットの拡充が必要となるのは、データからも明らかだ。今後の社会保障の議論が、客観的分析を基に行われるよう願う。
▼推薦コメント
氷河期世代を理解することは、日本経済・社会を深く理解することにもつながる。(手島健介)
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