それでも日本人が「クリスマスケーキ」が好きな訳 ショートケーキには昭和の日本が詰まっている

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帝国データバンクの調査によると、クリスマスケーキの平均価格は近年、原材料コストの上昇を受けて上がり続けている。

(出所)帝国データバンク

主な原材料価格は今年11月末時点で前年の同月と比べ、牛乳が横ばいである以外は、チョコレートが20%も、鶏卵・イチゴ・砂糖がそれぞれ10%、バターが8%、小麦粉が2%上昇。さらに包装資材、燃料費、人件費も上がった結果、クリスマスケーキの平均価格は2021年に3862円だったのに対し、今年は4561円にも上っている。

(出所)帝国データバンク

クリスマスケーキの人気は根強い

しかし、価格上昇によってケーキ離れが起きたとも言えないようだ。市場規模総合研究所が2023年に行ったクリスマスケーキ市場規模推計によれば、2000年以降、クリスマスケーキの市場規模は数十億円単位でアップダウンをくり返している。

そして2023年の合計市場規模は、2000年より12.29億円大きい。大まかに見れば、2人以上世帯の市場が縮小し、単身世帯の市場は増加しているが、それは世帯構成の変化を反映していると思われる。

最近では、クリスマスの新たなトレンドとして1人でシュトレンを楽しむ人も増えているという(クリスマスの新定番「1人シュトレン」浸透のなぜ)。クリスマスケーキが家族や恋人同士、友人同士など比較的複数人で食べるものに対して、シュトレンは家族がいるか否かにはかかわらず、個人で楽しむ人が少なくないという。

ケーキの価格上昇問題以前に、クリスマスの過ごし方や食べ物の選び方が多様化している。今後もその変化を見守りたい。

阿古 真理 作家・生活史研究家

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あこ まり / Mari Aco

1968年兵庫県生まれ。神戸女学院大学文学部卒業。女性の生き方や家族、食、暮らしをテーマに、ルポを執筆。著書に『『平成・令和 食ブーム総ざらい』(集英社インターナショナル)』『日本外食全史』(亜紀書房)『料理に対する「ねばならない」を捨てたら、うつの自分を受け入れられた』(幻冬舎)など。

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