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日本における物言う株主(アクティビスト)の活動が活発化している。株主を含めたステークホルダーと日本企業はどう向き合えばいいのか。ステークホルダー対応への支援を行う戦略コンサルティング会社、ブランズウィック・グループの唐木明子氏に聞いた。
近年のアクティビストは高度に洗練
──2024年3月期決算企業の株主総会である6月に、株主提案を受けた企業数は過去最多となりました。エリオット・マネジメントなど、グローバルアクティビストの日本参入が目立ちます。
背景には、日本の市場環境の変化がある。2014〜2015年に金融庁や東京証券取引所が導入したスチュワードシップ・コードやコーポレートガバナンス・コードが徐々に浸透する中で、上場企業のガバナンスが改善され、株価を意識した経営も広がり始めた。持ち合い株の解消に伴って株式の流動性が高まり、アクティビストが株式を保有しやすくもなった。
2023年には、東証が上場企業に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を求めるなど、アクティビストの主張が正当化されやすい環境が醸成された。
アクティビストというと、2000年代に名をはせたスティール・パートナーズのような存在を想起する経営者が少なくない。「日本企業を教育する」といった高圧的な態度で、企業分割や増配など長期的な企業価値向上とは相いれない提案をする存在として、否定的な見方が根強い。
これに対し、近年のアクティビストは高度に洗練されている。名門投資銀行やコンサルティングファームの出身者を擁し、還元強化にとどまらず、企業に対する深い理解が求められる事業構造に踏み込んだ提案も見られ始めた。
投資先企業と忍耐強く地道な対話を行い、時には自ら社外取締役に就任することで、共に企業変革に取り組む場合もある。
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