欧米で起きている株主アクティビズムの現象が、日本でも数多く見られ始めている。
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――日本でアクティビストの活動が活発化している現状をどのようにみているでしょうか?
クーンズ氏(以下、クーンズ) 2024年の株主総会で起きた出来事は、アクティビストが日本でこれからさらに多くのキャンペーンをしかけてくる始まりにすぎない。アクティビスト投資家は、まだ掘り起こされていない価値を持つ優良企業に注目している。そして多くの場合、そうした企業はコングロマリット(複合企業体)構造をとっている。
アクティビストを名乗り始めた海外投資家が、
ただ、日本市場の攻略を重点化し始めたプレイヤーは多く、日本では今後さらなる高いレベルのアクティビズムが見られると思う。
オルーニー氏(以下、オルーニー) 日本はアクティビスト投資家にとって非常に友好的な市場だ。スチュワードシップ・コードやコーポレートガバナンス・コードなど、政府や東京証券取引所が行った一連の改革により、日本市場はアクティビズムが行いやすい環境になった。
そして、チャーリー(・クーンズ)が言ったように、日本には過小評価されている企業がたくさんある。彼らは日本市場に参入することで、政策保有株式や(不動産などの)ノンコア資産の売却を狙っている。つまり、日本市場はアクティビストにとって、ターゲットが豊富にあると言える。
――アクティビストからのアクションがあったときに、日本企業はまずどのような対応を取るべきでしょうか。
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クーンズ アクティビストが会社の中に入ってくると、いつも大きな混乱が生じるし、企業はそれを決して好まない。
しかし、アクティビストと向き合う際のベストな対応は、自社の取締役会、経営陣、戦略に自信を持つ姿勢を保ちつつ、アクティビストの意見にもオープンな姿勢で、何かよいアイデアがあるかどうかを見極めることだ。それによって企業とアクティビストとの緊張を取り除き、うまくいけば両者の間で何らかの和解に至るための私的な合意に達することができる。
オルーニー 経営陣や取締役会の最初の姿勢が重要だ。最初の会話を非公開で建設的なものに保つだけでなく、建設的な関与を行った記録を残すことも欠かせない。もしその企業の関与がその後より敵対的なものになり、より公になったとしても、記録があれば企業はアクティビストに対してオープンマインドであることを示すことができる。
アクティビストを尊重し、意見に耳を傾け、ほかの株主と同じように接しているということを多くの市場関係者にアピールすれば、その後の情勢が不利になることを避けることができる。
――アクティビストとの対話がうまくいかず、メディアを使った公開キャンペーンにいたるケースもあります。このような世論づくりが始まる事態を避けるためには、どうすればいいのでしょうか。
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