「居・職・住」の変革で、地方移住はもっと進む 移住者が語る、東京にない「余白」の魅力<下>
「1年半前に東京で開催したイベントでは、移住に興味はあるが実際は難しいだろう、という人が大半でしたが、直近のイベントでは、3~4割が福岡に移住することを決めていて、具体的な情報収集のために来ていました。東京以外で生きることを考える人が増えていると、実感します」
プロジェクトの活動方針は、『居(居場所:コミュニティ)』『職(仕事)』『住(住まい)』を軸にした移住者のケア。最大のハードルである『職』のサポートとしては、福岡の仕事情報メディア「飛梅」がスタートしている。伝統工芸などその土地ならではの仕事と、移住者のスキルをマッチングすることを目的とした、移住者に向けた人材事業だ。
また、『住』については「福岡移住不動産」として、移住者の目線で価値のある不動産情報を発信。糸島のゲストハウスや朝倉の古民家を使って、移住前のトライアルステイなども提案している。
「私が移住するときに、いちばん苦労したのは『住』でした。糸島に住むことを前提にしていたものの、地元に不動産が流通しておらず、エリアのことも分からないから直感で選ばなければいけなかった。だから、事前に生活や地域を体験できる機会は必要と考えています」
民間主導だから、本当に住みたい所を探せる
こういった案件は行政が主体となるイメージが強いが、須賀さんたちのプロジェクトは、あくまで民間主導にこだわる。
「具体的には『居』『職』『住』をサポートするチームを現地に置き、行政には後方支援という形で組んでいただけるのがベストと考えています。行政主導だと3年に一度体制が変わっていくため、プロジェクトの積み上げが難しいという課題があるんです。
また、行政主導だとその土地に長く住み続けてもらうことが目的になりますが、民間のネットワークであれば、転勤になった時や移住したものの合わなかったという場合にも、ほかのエリアで受け皿を探すことができる。本当に住みたい所で生きていくことを支援することができます」
実際このプロジェクトは、京都に始まり福岡、札幌、岩手、新潟、長野、島根、佐賀に広がり、大分、鹿児島、沖縄でも準備中とのこと。8月にはアメリカ人の移住者を迎え、グローバルなプロジェクトがスタート。海外からの福岡移住をサポートする動きも本格始動している。
移住という自らの選択から会社や地域に変化をもたらし、地域を越えた活動にまで発展した須賀さんのエピソードは、これからもさまざまな方向に広がっていくのだろう。地方から全国、そして海外へと主体的に情報を発信していく取り組みは、地域活性化はもちろん、スモールビジネスにも応用できる。そしてスタートは小さくても、その先には想像を超える大きなチャンスが待っているのかもしれない。
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