プロ2年目の夏前には次の進路も考え始めていた寺田さんは、先輩と次の仕事について話していたときの「自分たちは野球のプロだけど、社会で働いている人は飲食だったら飲食のプロだし、教師だったら教育のプロだ」という言葉が頭の中に残っていました。
そこで、野球を辞めたら次のどんな仕事も「素人」として戦わなければならないことに危機感を抱き、社会に出る前に準備期間を設けようと考えるようになります。
その一環でどういうことをしたいかを考えたときに、かつて諦めた「医師」という仕事が当てはまり、筑波大学の大卒資格を生かした編入学試験という手段を思い付きました。
現在は東海大学医学部に通う
球団から戦力外通告を受けた10月のうちには編入学試験の説明会を聞きに行き、11月には勉強を始めた寺田さんは、英語と生命科学(高校生物の発展)を1年半勉強し続け、2021年に東海大学医学部の1年次秋学期編入試験に合格しました。
2024年現在、東海大学医学部の4年生として医師を目指している寺田さん。医学部生として病院実習に参加しつつ、これから受ける国家試験のための準備をしています。
忙しい日々を過ごしていますが、その傍ら元プロ野球選手でありながら現役医学部学生というキャリアを生かし、公式HPである寺田光輝オフィシャルウェブサイトを立ち上げ、インタビュー記事を載せたり、講演活動をしています。
浪人で時間の有限性を意識し、それまでの人生で置かれた場所で全力を尽くしてきたからこそ、今の自分があると寺田さんは考えています。
「自分は(プロ野球の)選手として、『これだけやってダメだったら仕方ない』と思えるくらいには頑張ったので、選手時代に『あのときこうしておけばよかった』という後悔はありません。だから、選手としての野球にしがみつかずに、次の道に進もうと思えたのだと思います。今では自分が想像していたような医学部生活ができているので、充実した気持ちですね」
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