中国の地方政府が「地元の空」を売り出した思惑 山東省の県政府系の国有企業が193億円で落札

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中国は「空飛ぶクルマ」の開発や商用運航に向けた基盤整備で最先端を走る。写真は億航智能が開発した空飛ぶクルマ(同社ウェブサイトより)

中国では近年、「空飛ぶクルマ」などが飛行する低高度空域を活用して経済振興を図る「低空経済」が脚光を浴びている。そんな中、山東省の地方政府が地元の低高度空域の利用権を競売にかけたことが明らかになった。

山東省済南市の公共資源交易センター(訳注:公有資産の競売サービスなどを提供する公共機関)が11月26日に開示した情報によれば、山東省平陰県の政府が「低空経済の30年間の独占経営権」の入札を募り、それを金宇通用航空という企業が9億2400万元(約193億円)で落札した。

真意めぐり臆測飛び交う

財新記者の取材に応じた複数の業界関係者によれば、これは低高度空域の独占的な利用権が売り出された中国初のケースだという。平陰県政府の動きは(空飛ぶクルマ業界や地方政府関係者に)大きな波紋を呼び、一部からは「天を売る行為だ」との批判も浴びている。

独占経営権を落札した金宇通用航空は、平陰県財政局の全額出資で11月5日に設立されたばかりの国有企業だ。公共資源交易センターの開示資料によれば、金宇通用航空は独占経営期間を通じて平陰県の低空経済の運営・維持に携わり、空飛ぶクルマの操縦免許の教習サービスや、市街地での物流・配送サービスなどを提供するという。

とはいえ、開示資料の内容は具体性を欠いており、平陰県政府がなぜ空域利用権を競売にかけたのか、その真意をめぐりさまざまな臆測が飛び交っている。

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