自衛隊のコスト、航空機や戦車、艦艇などを開発・製造する防衛産業の実態とは

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そのため、これら企業は、「防衛事業はお国のため」という使命感で事業を継続している側面もある。他事業の経営が好調であれば、防衛事業を支えられるが、他事業の収益が落ちれば防衛事業の存続も危ういという企業も少なくはない。

単価が高いゆえに高利益。時にそう指摘される防衛産業だが、それは必ずしも当たらない。
 
 たとえば、護衛艦の場合、建造開始からおよそ4年ほどの時間がかかるが、計画段階から民間企業が深くかかわっている。企業は計画のコンセプト立案から技術の検討、実際の見積もりなどで防衛省に協力しており、企業側が無償で協力するケースも少なくはない。コスト負担が先行することは、ほかの装備品製造でもよくあることだ。

また、防衛産業独特の事情が、企業の収益を圧迫している側面もある。前述した研究開発費まで企業側が負担する点や、コスト削減など企業側の努力で安く納入できても、その分のインセンティブが働かないといった契約の問題が指摘されている。

そのうえ過当競争という業界の構図も浮かび上がる。ここでは、防衛予算が減少する中、競争入札の導入が積極的になっていることも、業界に向かい風となっている。

競争入札が積極的に導入されたのは、旧防衛施設庁談合事件(06年)や元防衛事務次官も逮捕された山田洋行事件(07年)といった不祥事への反省のためだ。

もちろん、装備調達の透明化を図り、新規参入を促すことは好ましい。ただ、競争入札を導入したために、採算を大きく割り込む価格で落札されるケースもある。そのような落札価格では、本来求められる仕様どおりの製造さえ危うくなるおそれも出てくる。

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