宙に浮く韓国の最高権力・大統領制はどこへ? 「捨て身」で弾劾を防いだ大統領だが……
韓氏のグループを中心に8人が賛成すれば法案は可決、成立した。韓国メディアは、与党内の駆け引きが続いているとしながらも、一部は可決の公算が大きいと報じていた。
しかし、いよいよ採決が迫った12月7日の夕刻。与党は弾劾訴追案に反対票を投じることを最終確認する。いったい何があったのか――。
与党関係者は、前日の12月6日夜、韓代表派を含めた与党の幹部がソウル・龍山の大統領室を訪ね、鄭鎮碩(チョン・ジンソク)大統領秘書室長と協議したことが大きな転機となったと明かす。
この席で大統領側は弾劾訴追案の可決を阻むため、さまざまな方策を提案。その中には、2026年6月ごろに予定される統一地方選までに尹大統領は任期を前倒しして退任し、大統領選との同日選を実施することや、現在は5年1期限りで再選が認められていない大統領の任期を4年とし、再選を認める憲法改正を認める内容も含まれていたという。
大統領任期変える改憲を提案
韓国ではこれまで、5年だけで終わる大統領の任期が多くの弊害をもたらしてきたとして、変更すべきだとの声が左右両派から上がってきた。尹政権の発足後も、ほどなくして、与野党が改憲を議論したこともあった。
だが実現に向けた最大のネックは、どの大統領から任期を変更するかで折り合わないことで、尹大統領も自身の任期は5年との意向を示してきた。
今回、大統領の退陣を求める世論が燃えさかる中で出した談話で、尹大統領は「私の任期を含め、政局を安定させる方策は(与)党に一任する」と語った。
自身の任期短縮と次期大統領からは再選を認める改憲の意思は揺るがないことを明確にする、韓代表や支持グループらに向けたメッセージだった。
ただ、改憲の提案などだけで、韓代表らが「弾劾」で翻意したわけではない。法案が廃案になった翌日の12月8日、韓悳洙(ハン・ドクス)首相と協議した後、一緒に記者会見に応じた韓代表は「秩序ある(尹)大統領の早期退陣により、大韓民国と国民に与える混乱を最小限に抑えながら安定的に政局を収拾し、自由民主主義を正す」と述べた。
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