国民民主の要求が実現しないなら日本は後進国だ 日本経済復活に向け「最後の障害」を克服せよ

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日本経済の1990年代半ばからの「失われた20年」は金融財政政策の失政によってもたらされたことが、アベノミクスの成果によって、多くの人が認識するに至った。

アベノミクス発動で、日銀の執行部が変わり日本の金融政策はアメリカと同じ水準に追いついたのだが、「第2の矢」である財政政策は、コロナ禍の緊急時の非常期を除き、総じて緊縮的な政策が続いていた(消費増税が2014年、2019年の2回行われた)。

緊縮的な財政政策が続く中で、インフレ率の上昇に税制が適切に調整されない怠慢によって、インフレタックスによる家計の負担が高まっている。それゆえ、穏当ながらも減税を主張する国民民主党が躍進するのは、必然だったということである。

「財政政策転換」実現なら、2025年は日本経済の転機に

日本経済は正常化に近づいたが、まだ道半ばにあると筆者は位置付けている。やはり、経済正常化の完全実現を阻んでいるのは、極めて保守的な財政政策である。ただ、国民民主党の躍進によって、財政政策が、アメリカなどと同様に2025年からまっとうに機能するシナリオがみえてきた。

アベノミクス発動から時間はかなり経過してしまったが、安倍政権が目指した財政政策の転換が10年越しに実現する可能性がでてきた、ということである。日本経済復活の最後の障害を克服するに至れば、2025年は日本経済にとって大きな転機になるだろう。

(本稿で示された内容や意見は筆者個人によるもので、所属する機関の見解を示すものではありません。本記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

村上 尚己 エコノミスト

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むらかみ なおき / Naoki Murakami

アセットマネジメントOne株式会社 シニアエコノミスト。東京大学経済学部卒業。シンクタンク、外資証券、資産運用会社で国内外の経済・金融市場の分析に従事。2003年からゴールドマン・サックス証券でエコノミストとして日本経済の予測全般を担当、2008年マネックス証券 チーフエコノミスト、2014年アライアンスバーンスタン マーケットストラテジスト。2019年4月から現職。

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