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「バカ野郎!」罵声が日常の9年半で得た1つの学び 伝説の落語家「立川談志」に最も怒られた弟子

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それにしても、なぜ「狂気」と言えるくらいの気づかいをしたのでしょうか。

談志が怖かったから? もちろんそれもあるでしょう。実際、怒りをあらわにした談志の迫力たるや、いま思い出しても身が縮む思いがします。

でも、本当にイヤなら、師匠の下を去ればいいだけです。そうやって去っていった兄弟弟子はたくさんいました。

だから「そこまでやる」のです

私がこれらの気づかいをやり遂げられたのは、ひとえに師匠に「惚れていた」からです。「惚れた師匠を喜ばせること」が弟子の急務で、そうすることが自分の芸人としての可能性を飛躍的に高めることにつながっていくからです。

そう信じ抜いた者たちのコミュニティこそが立川流であり、落語界そのものなのです。

そしてこの感覚は、おそらくかつての日本ではありふれたモノだったのではないでしょうか。「惚れた対象」にそこまで「気づかい」する覚悟こそ、古来の日本人が持っていた大切な気質だったと思うのです。

先人たちがこの国においてさまざまなモノやコトをつくる際には、地獄のような「気づかい」をやってのけてきたはずです。

少なくとも私たちの中には、そんな血が受け継がれているものと、私は確信しています。

だから私は、本書を書くことにしました。

「そこまでやるんですか?」と問われたら、私は自信を持ってこう答えます。

「いいえ、まだまだ、やり足りないのです」

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