「投資家逃げたら韓国は…」戒厳令、韓国人の本音 保守派でさえ理解できない尹大統領の謎行動
今回の事態は、1979年に朴正熙大統領が暗殺された際、「非常戒厳令」が宣布されてから45年ぶりのことだった。
尹大統領によって3日夜11時に突然宣布された「非常戒厳令」は、2時間後の午前1時1分には国会で解除要求決議案が可決され、大統領も受け入れたことで、6時間あまりで解除された。国会議員の過半数の賛成により解除しなければならないという憲法にのっとったもので、あっという間の出来事だった。
日本の化粧品を輸入し韓国で販売する事業をしている知人は、非常戒厳令の宣布後すぐに「海外で韓国物の株価がとんでもなく下落している。いったいどうしてくれるんだ」と嘆いていた。
保守派中の保守派である彼でさえ、「韓国では政治的にはまだ不安定とされて投資家が逃げてしまえば輸出に依存している韓国は終わりですよ。尹錫悦はすぐに退任して政府は早くに収拾を図ってほしい」と今も怒りが収まらない。
「無理筋」な戒厳令をなぜ出した?
ミステリーなのは、尹大統領が、民主主義と逆行する、世論が背を向けることがわかっていただろう「非常戒厳令の宣布」を強行した理由だ。非常戒厳令については高校の一期先輩にあたる国防相と計画していたと言われ、3日夜に突然招集した国務会議ではほとんどの閣僚が反対したという。しかし、尹大統領はそれを振り切った。
4日、与党幹部らには、「野党が乱発する弾劾の暴挙を防ぐため宣布した」と話し、「自分は間違っていない」と語ったことが報じられた(朝鮮日報12月5日)。野党は尹政権に入り22件の閣僚などの弾劾訴追案を国会に提出しており、4日には、尹大統領の側近といわれるソウル中央地検検事長などの弾劾訴追について票決が行われる予定だった(5日弾劾訴追案可決)。
現在、韓国の国会は300議席中、野党6党合わせて192議席を保有するねじれ国会だ。大統領や与党は思うような国政運営ができないままでいるのは明らかだが、それが国政マヒゆえの混乱を避けるという戒厳令に当たるのかといわれれば誰もが納得はいかないだろう。
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