ユニクロ「ウイグル綿花使ってない」発言の深刻度 中国での不買運動は日本のSNS炎上とは影響度が違う
過去の柳井氏は、ウイグル問題について明言を避けてきたが、新疆綿を使い続けたかったからというよりは、上記のような負の連鎖が起きてしまうことを懸念してのことではないかと思う。
今回についても、「気を付けて発言していたが、つい話してしまい、それが報道されてしまった」といったところで、中国でバッシングが起きることは本意ではなかったに違いない。
海外メディアとの付き合い方は要注意
海外メディアで報道されることによって、日本企業の問題が顕在化した例は今回の件だけではない。
故ジャニー喜多川氏の性加害問題は、BBCで報道されることによって、日本国内でも問題が顕在化した。
もちろん、明るみになったこと自体はいいのだが、一部分のみが過剰に切り取られる事態も起きている。
たとえば、SMILE-UP.(旧ジャニーズ事務所)の東山紀之社長が、BBCの単独インタビューを受けたが、放送された番組においてインタビューが発言の趣旨とは異なって使われたとして、2024年4月、BBCに抗議し、訂正と謝罪を求める文書を送付している。
筆者から見ても、BBCの放送は一定の意図をもって編集がなされているように感じた。公共放送であるBBCだからといって、中立的、客観的な報道をしてくれるとは限らない。さらに海外メディアは、国内メディアと比べてしがらみがないだけに、日本企業に対して細かい配慮などしてくれない。
もちろん、それがよい部分でもあるが、国際的なメディアであれば、良くも悪くも、世界的な影響力を及ぼす。
前述のことを考えると、ユニクロに対する不買運動が起きるのか、起きたとしてどのくらい深刻な影響をもたらすのかは、中国の消費者の意識だけでなく、中国政府がどのような意図を持って情報をコントロールするかにもよるだろう。
日本人の短期滞在ビザ免除の措置が再開されるなど、現在の日中関係は比較的良好だ。中国政府が反日感情をあおるような行動を起こすことは考えにくいのだが、注意はしておくに越したことはない。
一方で、日本のSNSユーザーも、日本と中国では、消費者のおかれた環境が両国でまったく異なっていることを理解しておいたほうがよいだろう。中国で不買運動が起きたとしても、それは消費者自身の自発的な行動とは限らないのだ。
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