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ユニクロ「ウイグル綿花使ってない」発言の深刻度 中国での不買運動は日本のSNS炎上とは影響度が違う

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  • 西山 守 マーケティングコンサルタント、桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授
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資生堂は2023年12月の業績の下方修正を発表したが、こちらも中国市場の低迷によるものだ。中国の景気悪化に加えて、福島第一原子力発電所のALPS処理水が海洋放出されたことで、中国で日本の化粧品ブランドの不買運動が行われたことで、中国市場での業績が悪化したのだ。

日本国内の場合、SNSで不買運動が起きたとしても、実際に企業業績に深刻な打撃を与えるほどの影響を持つことはほとんどない。SNSで叩く人の多くは、実際の商品の購買者ではないし、実際に商品を買い控える行動にまで出る人はほとんどいないのだ。

12月1日現在、香港にあるユニクロ店舗の様子(写真:CFoto/時事通信)

中国消費者自身の自発的な不買運動ではない?

海外における不買運動は、一般に日本よりも影響が出るのだが、中国においては、特に注意しなければならない特殊事情がある。

中国においては、政府が消費者をコントロールしているという側面があるからだ。

H&Mの不買運動においても、国営メディアが企業に対して批判的な報道をしたり、中国共産党の青年組織である中国共産主義青年団がSNS上で批判を扇動したりしている。さらに、ECサイトから商品が削除されたり、商品検索ができなくなったりといったことも起こった。

逆に、不買運動や排外意識が過熱しすぎると、中国政府は抑制策を行うことがある。

実際、2012年の反日デモの際に、筆者の知り合いの日本企業の社員が北京に駐在していたが、デモが過熱化した際に、過激なワードが検索できなくなったり、SNSの投稿が削除されたりといったことも起きていたという。

日本においては、あまり行われないが、自国の政治に対する不満をそらすために、政府が排外意識をあおることは、中国に限らず、多くの国で行われている。

強制労働が疑われる新疆ウイグル自治区の綿を使用しない――というのは、グローバル規模で社会的責任が問われる現代においては正しい判断だと思う。

しかし、いたずらに中国政府や、中国の消費者を刺激することは、逆に政治に利用されてしまうことにもなりかねないため、慎重になる必要があるだろう。

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【中国でバッシングが起きることは本意ではなかった】

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