住宅ローンに影響…日銀はどこまで金利上げるか どうして日銀は金利を上げるかわかりやすく解説
政策金利が上がると、どんなことが起こるのでしょうか。住宅ローンを借り入れる際の変動金利も上がります。変動金利は無担保コール翌日物金利に連動していくよう設計されているからです。
そして短期で借りる金利が上がれば、通常は長期金利も上がります。短期での支払い金利が上がると、長期で借りる方に需要がシフトしていくため、結果的には金利を上げても十分に借りてくれる人が増えて長期金利も上がってしまいます。
住宅ローンでは35年間まで借りたときの金利で固定される「フラット35」が人気です。住宅金融支援機構のウェブサイトを使って、フラット35の借入金利の推移を見ると、日銀が利上げに転換する前の今年2月と比べると11月の金利は0.11%上昇しています(借り入れ期間20年以下、最低のケース)。
政策金利の上昇が長期金利の上昇に影響を与えている一例になりますが、他にも私たち身の回りのさまざまな金利は短期、長期に限らずあります。日銀の3月の利上げ転換後、足元にかけて上昇しています。
こうした金利上昇は経済活動にネガティブな影響につながります。住宅ローンの例で見ると、金利上昇で支払い負担が増えると住宅を買える人が減ってしまいます。住宅ニーズが減れば、住宅を作るための投資が減って景気にマイナスに働くということです。
景気にブレーキを踏んでいく利上げをする理由
企業活動への影響も考えてみましょう。企業が新しい工場を作るなどの設備投資を計画するとします。金利が上昇して銀行からの借り入れの利払い負担が増えれば、企業の設備投資を控える姿勢が強まってしまいます。このように設備投資が減ることは景気を冷ます方向につながります。
話を整理すると「利上げは景気にブレーキを踏んでいく政策、反対に利下げは景気にアクセルを踏んでいく政策」と言えます。
それではなぜ、日銀はあえて景気にブレーキを踏んでいく利上げをするのでしょうか。それはモノの値段が大きく上がる物価高、急激なインフレを抑える目的からです。
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