Teams対応AI翻訳、DeepLが音声市場に進出 上場企業8割導入の実績、音声分野で第三の柱確立へ
「例えば6人の参加者が、それぞれ異なる6つの言語で会話することも可能です」とプロダクト担当ヴァイスプレジデントのクリストファー・オズボーン氏は説明する。チャットでよく見られる翻訳ツールと異なり、音声をリアルタイムで認識し、即座に翻訳文をキャプションとして表示することで、自然な会話の流れを妨げない設計という。
当面はMicrosoft Teams専用アプリケーションとして提供され、Google MeetやZoomなどほかの会議通話ソフトへの対応は未定だ。
一方の「Voice for Conversations」は、DeepLのモバイルアプリ上で提供される対面会話用のツール。1台のスマートフォンを介して2人が異なる言語で会話できる。画面表示は、向かい合って会話する際の「対面モード」と、横に並んで座る際の「並列モード」の2種類を用意。会話の状況に応じて切り替えられる。
翻訳テキストの読み上げ機能も搭載されているが、現状では機械的な音声で自然な会話感には欠ける。DeepLはテキスト表示による翻訳の精度と即時性を重視しており、音声合成の品質向上は今後の課題となりそうだ。
両サービスとも13言語での音声入力に対応し、出力される翻訳キャプションはDeepLがサポートする33の言語すべてで利用できる。また、企業特有の専門用語や商品名などを登録できる用語集機能にも対応し、ビジネスでの実用性を重視した設計となっている。
欧州発の言語AIユニコーン
DeepLは創業時、わずか7言語に対応する翻訳ツールからスタートした。その後、独自のニューラルネットワーク技術により翻訳の精度で頭角を現し、現在は31言語に対応。今年5月には著名ベンチャーキャピタルのIndex Venturesから3億ドル(約450億円)の資金調達を実施し、企業価値は20億ドル(約3000億円)に到達した。
目を見張るのは日本市場での急成長だ。2020年に日本語対応を開始して以降、東証プライム上場企業の約80%が採用するまでに成長。2023年7月には欧州・英国圏外で初となる日本法人を設立するなど、日本市場を重視する姿勢を鮮明にしている。
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