中国が「ロシア産天然ガス」の最大輸入国になる日 シベリアと上海を結ぶパイプライン全線開通へ

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中ロ東線の建設は北部、中部、南部の3区間に分けて段階的に進められ、2019年12月にまず北部区間が開通した。

その後、開通区間が北から南に延びるにつれて、天然ガスの輸送量が拡大。中国がロシアから輸入した天然ガスは2020年の108億立方メートルから、2023年には約3倍の323億1000万立方メートルに急増した。

ロシア産天然ガスの対中輸出は2019年から急増が続く。棒グラフの青紫部分はパイプライン、赤紫部分は液化天然ガスの輸出量(図表作成:財新)

ロシアが輸出する天然ガスは、長年にわたりEU(欧州連合)が最大の買い手だった。しかし(2022年2月に)ロシアがウクライナに侵攻して以降、EUの輸入量は年々減少している。2021年にはロシアの天然ガス輸出量の76.5%をEU向けが占めていたが、2023年には50.1%に低下した。

世界の天然ガス貿易が一変

そんな中、ロシアは天然ガスの中国向け輸出を(中ロ東線を通じて)急速に拡大。輸出量に占める中国の比率は、2021年の5.7%から2023年には23.3%に上昇した。

本記事は「財新」の提供記事です。この連載の一覧はこちら

情報サービス会社ブルームバーグの推計によれば、ロシア国営の天然ガス企業ガスプロムが2024年1月から9月にかけて中国に輸出した天然ガスは237億立方メートルに上り、前年同期比4割近く増加した。それに対し、同じ期間のEU向け輸出量は225億立方メートルだった。

中ロ東線の全線開通とともに、ロシアの対中輸出がさらに増えるのは確実だ。それは中国がEUに代わってロシア産天然ガスの最大の輸入国になることを意味し、世界の天然ガス貿易の構図を塗りかえることになりそうだ。

(財新記者:羅子琳)
※原文の配信は11月19日

財新編集部

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Caixin

2009年設立の財新は中国の経済メディアとして週刊誌やオンライン媒体を展開している。“独立、客観、公正”という原則を掲げた調査報道を行い、報道統制が厳しい中国で、世界を震撼させるスクープを連発。データ景気指数などの情報サービスも手がける。2019年末に東洋経済新報社と提携した。(新型肺炎 中国現地リポート「疫病都市」はこちらで読めます

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