対照的に動員が伸び悩んでいるのが広島だ。数年前まで「カープ女子」ブームで、全国的な人気があり最もチケットが取りにくいチームの1つだったが、今年、平均観客数は3万人を割り込んだ。広島はNPBでは珍しく本拠地マツダスタジアムの上段内野席の一部を自由席にしているが、この席は土日も空席が目立つ日があった。
エスコンフィールド移転後の日本ハムは?
日本ハムは2019年は札幌ドーム、2023年からは北海道北広島市に日本ハムグループが建設したエスコンフィールドHOKKAIDOと本拠地が変わっている。
札幌ドームの野球試合時の定員は4万1138人。2019年の動員率は66.5%、いつ行ってもガラガラという印象だった。エスコンフィールドの定員は3万5000人だが、このうち6000人は指定席がない立ち見。席数としては2万9000だ。昨年は平均2万6515人だったが、今年は8.7%増の2万8830人になった。球場の快適さは、文句なしに12球団一だ。
開業当初は最寄りのJR北広島駅から遠いことが問題視されたが、シャトルバスをフル回転させるなどアクセス問題解消に努めた。また駅からエスコンフィールドのあるFビレッジまでの道のりは、橋を渡ったり林の中を通るなど散策コースでもある。この道のりを楽しむファンも増えているようだ。
エスコンフィールドは試合のない日も客を入れており、平日4500人、休日1万人ほどを集客している。球場そのものを観光スポットにする新たなビジネスモデルといえよう。
エスコンフィールドのような新しい球場と比べると、ヤクルトの本拠地、神宮球場はとりわけ古びた印象だ。特にシートの狭さ。「大学野球の聖地」であり、この古さも「伝統」なのだろうが、「高校野球の聖地」甲子園球場が、毎年のように改装を加え、客席もトイレなども改良されているのに対して、神宮球場は「昭和の香り」が漂っている。
甲子園は阪神電鉄の持ち物で、自由に手を加えられるのに対し、神宮球場は宗教法人明治神宮が所有しているから、手を入れることができないのだ。
しかし大学野球は早慶戦を除いていっぱいになることはないが、ヤクルト戦は3万人近くが入る。一昨年までリーグ連覇したこともあり、観客は増えている。神宮球場の移転、建て替え問題が議論されているが、何とかすべき時期にきていると言えよう。
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