2025年の日本経済を左右する「103万円の壁」対策 恒久減税の実現こそ日本経済再生の第一歩だ

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こうした意味で、10月の総選挙で躍進した国民民主党が、基礎控除の大幅引き上げを軸にした減税政策を主張していることは、今後の日本経済や株式市場にとってほぼ唯一のポジティブな動きだと筆者は考えている。減税の民意をうけて躍進した国民民主党がキャスティングボートを握っている今の政治状況は、日本経済にとって悪くない。

一方で、インフレ上昇に対応して基礎控除を引き上げるという、民意の後押しを受けた正論に対して、抵抗する政治勢力の動きがメディアを通じて可視化されている。税金に依存する既得権益者にとって、減税阻止は極めて合理的な行動になるということだろう。日本のマクロ安定化政策がデフレ期に機能不全に陥ったアナロジーとして、最近の減税阻止の動きを興味深く筆者は注視している。

大幅減税実現の有無が将来の日本経済の命運を左右する

アメリカでは来年の経済政策の帰趨はかなりみえているが、日本における減税政策を巡る政治攻防が、どのような結末になるかはまだわからない。そして、大幅減税が実現するかどうかは、将来の日本経済の命運を大きく左右するだろう。

実際のところ、デフレからの完全脱却を後押しするために恒久減税が実現することは、日本経済再生の第一歩にすぎない。これすら実現しなければ、緊縮的な経済官僚が経済政策を決定づける状況に様変わりする、ということだ。増税に前向きな野田佳彦氏率いる立憲民主党と石破政権が手を組んで、減税の動きを封じ込める最悪のシナリオすら考えられる。恒久減税が実現しないのであれば、2025年もアメリカ株>日本株の状況が続くのは必至である。

(本稿で示された内容や意見は筆者個人によるもので、所属する機関の見解を示すものではありません)

村上 尚己 エコノミスト

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むらかみ なおき / Naoki Murakami

アセットマネジメントOne株式会社 シニアエコノミスト。東京大学経済学部卒業。シンクタンク、外資証券、資産運用会社で国内外の経済・金融市場の分析に従事。2003年からゴールドマン・サックス証券でエコノミストとして日本経済の予測全般を担当、2008年マネックス証券 チーフエコノミスト、2014年アライアンスバーンスタン マーケットストラテジスト。2019年4月から現職。

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