2025年の日本経済を左右する「103万円の壁」対策 恒久減税の実現こそ日本経済再生の第一歩だ
こうした筆者と同様の投資家の見通しが反映される中で、大統領選挙後にS&P500種指数は一時初の6000ポイントの大台を超え、上昇基調にある。今後、割高感が意識されて一時的に調整する場面は何度もあるだろうが、共和党の「トリプルレッド」の政治状況において、アメリカ経済については今後も成長する余地が大きいと筆者は考えている。
このままでは中国は1990年代の日本と同じになる
ただ、次期トランプ政権の経済政策が、世界経済全体の成長を高める可能性は低い。大幅な関税政策の対象となる中国については、輸出主導での回復がかなり難しくなり、2025年も経済停滞が続きそうだ。
中国でも各種の経済政策が打ち出されているが、経済成長率を高めてデフレ状況を克服するに至る政策対応はほとんど実現していない。このまま無策が続けば、アメリカからの対外的な圧力に直面した1990年代の日本と同様に、経済的な自滅に至るだろう。
もちろん、自動車などの関税引き上げの対象になる欧州や日本についても、トランプ政権が繰り出す関税引き上げが重荷になりそうだ。また、日銀が性急な利上げを続ける姿勢を明確にする中で、2024年の前半までのような大幅な円安の追い風の環境は、2025年には変わるだろう。
日本が次期トランプ政権と適切に対峙しながら、自国の利益を追求できるかは、2025年の政治リーダーの最も大きな仕事の一つになることは明らかである。ただ、ドナルド・トランプ氏と懇意だった故安倍晋三元首相とは政敵関係にあった石破茂首相は、大きなハンデを背負ってトランプ氏に向きあわざるをえない。もし、石破首相らの相当な努力と資質がなければ、残念ながら、自国の利益を高める外交政策を繰り出す展開は期待しがたい。
先述のとおり、日銀が7月末に性急な利上げを開始したことが、日本株の値動きを抑えるきっかけになった。政治情勢が不安定化する中で、政治家にかわって、保守的な経済官僚が財政健全化をいたずらに急ぐマクロ安定化政策を決定する状況に変わりつつあることが、日本の株式市場にとって大きなリスクとして認識されているということだ。
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