加齢による「関節の痛み」引き起こす2種類の筋肉 「使わない」のも「使い過ぎる」のも痛みの原因に
筋力の低下は、QOL(Quality Of Life:生活の質)も低下させます。関節痛がひどくなる、以前はできていたことができなくなり、いろいろなこと(身のまわりのこと、趣味、交友関係など)を諦めざるを得なくなるのです。
関節を守るのは"弱い負荷"をたくさんかける筋トレ
筋肉は、使わなければ衰えて、その筋力は弱くなる一方です。筋力が弱くなれば、そこにある関節に負荷がかかります。ダラダラ筋につながった関節は、悲鳴を上げることになります。
筋肉は、使い過ぎれば疲れていき、やがて壊れます。そうなっても、そこにある関節に負荷がかかります。クタクタ筋につながった関節もまた、悲鳴を上げることになります。
筋肉を使うにあたっては、「過不足」のどちらもダメなのです。筋トレで適切な範囲の負荷をかけることができれば、「ちょうどいい刺激」になって、筋肉は守られて、関節も強くなります。「運動習慣が健康にいい」ことは医学的にも検証されています。適度な運動をしていれば、筋肉や関節が適度に動かされます。適度に刺激を受けて強くなった筋肉や関節は、あなたの痛みを和らげていきます。
筋肉を鍛えることが大事だと述べてきましたが、筋トレの負荷が大き過ぎると筋肉を傷めるリスクがあります。さらには関節を傷めるリスクもあります。これは、患者さんを見ながら私が日々痛感していることです。
筋肉を鍛えるために懸垂や腕立て伏せをしたり、スポーツジムで重いバーベルを持ち上げたりした結果、体中がクタクタ筋になってしまった患者さんを私はたくさん診てきました。ジムでベンチプレスやショルダープレスなどをやり過ぎて、肩の腱板断裂になる人も本当に多いのです。
その一方で、全然運動をしない人の筋肉は、すでに弱くなっています。そういう人が急に筋トレをすると、本人は「少しやった」つもりでも、やり過ぎになってしまいます。逆に言うと、そういう人は「軽く」動かすだけで効果があるのです。できる範囲で、根気強くやっていくことで、効果が出るのです。
「やり過ぎては傷める」「軽く動かすだけで効果が出る」という事象は、筋肉だけではなく、関節にも当てはまります。負荷をかけ過ぎると、関節は壊れてしまいます。けれども関節をまったく動かさなければ、関節は弱くなります。関節が弱くなっている人は、少し動かすだけで「やり過ぎ」になってしまいます。適切な負荷をかけてこそ、関節も強くなります。
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