兵庫県知事選「石丸現象や玉木現象」との共通点 今後の各種首長選や次期参院選でも同様の動きか
これに対し稲村氏は「県政刷新」を掲げ、ハラスメント防止条例の制定や公益通報制度の見直しを主張。立憲民主党に加え自民党の一部県議や、同県各市町村長の大半が支援したが、陣営内の足並みの乱れもあって、斎藤氏に及ばなかった。さらに、「もう一人の有力候補」とされた前参院議員の清水貴之氏(50)は、日本維新の会を離党して無所属で出馬したが、「斎藤・稲村対決」の陰に隠れる形となって「惨敗」した。
そうした中、投票率は55.65%と、前回の41.10%から大幅に上昇したが、多くの選挙アナリストは、各メディアの出口調査の数値などから「無党派層の投票拡大によるもの」(有力アナリスト)と分析。斎藤氏が前回2021年知事選から、25万票以上を積み上げる111万票余を獲得したことについても、「その多くは無党派層への浸透の結果」(同)との見方を示している。
これについて、斎藤氏自身も、「選挙戦序盤から、応援がSNSを通じて広がるというプラスの面をすごく感じた」と“ネット戦術”が勝利のカギとなったとの認識を示した。
「何と向き合っているのか違和感があった」と稲村氏
ただ、今回の選挙戦が、SNSを中心とするネット上での対抗陣営に対する誹謗(ひぼう)中傷や真偽不明の情報が飛び交う“異常事態”となったことは間違いない事実。
毎日新聞などの記事によると、敗北を受けて稲村氏は「候補者の何を信じるか、どのような情報に基づいて投票行動を決めるのかという点で課題が残った選挙戦。何が争点だったのか。斎藤候補と争ったというより何と向き合っているのか違和感があった」と振り返った上で、斎藤氏と県議会各会派との関係改善についても、「より良い兵庫県をつくる思いは共通。私自身も謙虚に丁寧にやっていきたい」と複雑な心情を吐露した。
知事選での斎藤氏再選を受け、県議会調査特別委員会(百条委員会)は18日、斎藤氏の疑惑が文書で告発された問題を巡り、同氏の証人尋問を25日に行う方針を決定。併せて、この尋問には斎藤氏に加え3人の出頭も求めた。告発文書を公益通報として扱わず、文書を作成した元県西播磨県民局長の男性を処分した経緯などを改めて検証するためだ。
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