兵庫県知事選「石丸現象や玉木現象」との共通点 今後の各種首長選や次期参院選でも同様の動きか

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

こうした今回知事選の経過と結果に対する“余波”が広がる中、斎藤氏は19日午前10時ごろ、県庁に徒歩で登庁し、「気持ちを新たに頑張っていく」とあいさつ。その際、県庁舎前には数十人の支援者が集まり、拍手で出迎えたが、プラカードを持って「職員の皆さん、こんなやつに負けるな」と叫んで抗議する人物を警備員が制止するなど、拍手と怒号が飛び交う異様な光景ともなった。

その後、斎藤氏は当選証書を受け取り、正式に知事に就任。午前11時から行われた就任式では、職員が拍手で斎藤知事を出迎え、花束が贈呈された。

読売テレビの記事によると、斎藤氏は職員を前に「県政に不安を与えたことを心からお詫び申し上げ、職員の皆様にも不在の約50日間、県政を支えて仕事をしてもらったことを心から感謝し、不安や心配をかけたことを申し訳なく思います」と頭を下げた。その上で斎藤氏は「仕事は自分ひとりではできない。もっと丁寧にコミュニケーションや対話を尽くしたい。そのためにも生まれ変わって一からスタートし、何より謙虚な気持ちをもってやっていく」と述べた。

政界や中央メディアは「情報発信」の抜本的見直しを

そうした状況も踏まえ、中央政界では「今回兵庫県知事選の予想外の展開」(閣僚経験者)につながった斎藤氏の「SNS戦略」に、各党幹部らの注目が集まっている。「SNSを最大限活用した選挙戦略と、これに呼応したいわゆる“ネット民”の支持拡大が斎藤氏勝利の原動力になった」(同)ことは否定しようがないからだ。この状況について、多くの選挙アナリストは「7・7都知事選での“石丸現象”や、10・27衆院選での“玉木現象”と通底する動き」と位置づける。

確かに、「今回のような特定の候補を、SNSを通じて勝手連的に支援する動きは、今後の各種首長選や次期参院選でもさらに拡大する」(政治ジャーナリスト)との見方が支配的。特に有識者の間では「既成政党と既存メディアに対する一般国民の忌避感の強さが最大の要因」(有力社会学者)との指摘が多く、政界や中央メディア幹部の間でも「政治家や各種メディアの情報発信についても、大いなる反省と、抜本的見直しが必要」(民放テレビ幹部)との厳しい声が広がっている。

泉 宏 政治ジャーナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事