激動アジア--2012年は選挙・政権交代イヤー、アジアの政治が大きく動く

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ルールメーカーに日本がなるチャンス

今年は、日本にとっても重要な選択を迫られる1年になる。消費税増税、社会保障改革などの国内問題に加え、外交面ではTPPの参加交渉が大詰めを迎える。

昨年11月、野田佳彦首相は「TPP交渉参加に向けて関係国との協議に入る」と表明したが、依然として「交渉参加」を明言はしていない。日本政府は、今月から現交渉国9カ国との協議を本格化し、交渉へ参加するか否かの結論を出す。

元外務事務次官の谷内正太郎・早稲田大学教授は「TPPは、日本が国際社会で主要なルールメーカーになるチャンス」と強調する。TPPの詳細なルールを決める参加交渉国会合は、3月に豪州で始まり、年内に5回程度開催される予定だが、日本は参加が遅れれば遅れるほど、自国に有利なルールを盛り込むことができなくなってしまう。

アジア太平洋の貿易圏構想をめぐっては、TPP以外にも、日中韓FTA(自由貿易協定)、ASEAN+3、+6などの枠組みが提唱されている。そのすべてに関与する日本の決断は、他国にも大きな影響を与える。事実、日本がTPPへの参加交渉表明をしたことで、中国は日中韓FTAへの関心を強めている。

安全保障面では、普天間基地移設問題など日米同盟の行方や、ほかのアジア諸国との防衛協力強化も大きなテーマとなる。

激動が予想される12年のアジア。アジアはこれからどう変わるのか。そして、日本はどう動くべきなのか。『週刊東洋経済』2012年1月14日号では、世界の15人の識者たちにその見通しを聞いた。

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