大王製紙と北越紀州、再びバトルに着火 資本関係をめぐって対立が先鋭化

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大王CBの株式転換が進むと、当然、北越紀州の持ち株比率は下がる。しかも全部、新株で株式に転換されれば、北越紀州の持ち株比率は18%台に低下、持ち分会社の対象外となる。計算上、今回のCBのうち45%が新株に転換されるだけで、北越紀州の持ち株比率は20%を割り込む。いずれにせよ結果は同じだ。

14年6月にも大王は公募増資を行ったが、このときは北越紀州の持ち株比率が低下しないよう、同社向けに第三者割当増資を実施した。今回のCBについて「即時の希薄化が発生するものではなく、将来的に株価が上昇した場合、初めて希薄化が発生する可能性が生じるもの。前回の公募増資と状況が大きく異なる」と大王側は説明する。

とはいえ、大王の佐光正義社長は、「(北越紀州が大王の株を売るといえば)それはもちろん、買います」(6月の株主総会後の会見)と、北越紀州との関係“希薄化”には前のめりだ。

一方、CBの株式転換で希薄化が進むリスクは、北越紀州にとって座視できない。CBが発行された9月17日、北越紀州製紙が発表したリリースでは、「強く抗議するとともに、その責任を追及し、大王製紙の企業価値および株主共同の利益を向上させる改善策をこれからも大王製紙に対し強く求めてまいります」と宣言。岸本社長は「発行後の大王CB購入や、転換後の株式買い付けも検討する」と徹底抗戦をする構え。

そもそもは大王創業家から北越紀州が株を買い取り、持ち分会社化したことで始まった両社の対立劇。今回のCB発行で、資本関係そのものが争点となる可能性がある。

「週刊東洋経済」2015年9月19日号<14日発売>「核心リポート02」に加筆)

大滝 俊一 東洋経済 記者

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おおたき しゅんいち / Shunichi Otaki

ここ数年はレジャー、スポーツ、紙パルプ、食品、新興市場銘柄などを担当。長野県長野高校、慶応大学法学部卒業。1987年東洋経済新報社入社。リーマンショック時に『株価四季報』編集長、東日本大震災時に『週刊東洋経済』編集長を務め、新「東洋経済オンライン」発足時は企業記事の編集・配信に従事。2017年4月に総務局へ異動し、四半世紀ぶりに記者・編集者としての仕事から解放された

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