セルビア「中国が改修」の駅崩壊で高まる不信感 「一帯一路」の一環、不透明さに市民ら抗議デモ

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事故原因は現在調査が行われており、今回崩落した1964年建造の屋根は改修工事の中に含まれていなかったと発表されている。だが、セルビアの専門家は、改修工事によって建物の構造変更が行われ、間接的に屋根の崩壊を引き起こした可能性があると国内メディアを通じて指摘した。

セルビア 駅舎崩落抗議デモ
首都ベオグラードの抗議デモの後も市民らの抗議運動は続いた。駅舎が崩落したノヴィサドの街で責任追及を求めて行進する人々。プラカードの訴えには簡体字も見える=11月5日(写真:Filip Stevanovic/Anadolu via Getty Images)
ゴラン・ヴェシッチ大臣
市民らが抗議デモで辞任を求めた建設・運輸・インフラ大臣のゴラン・ヴェシッチ氏(右端)。写真はEUの鉄道プロジェクトに関して欧州委員会のオリベル・バルヘリ委員(左)らと会談した際の様子=2023年2月28日(写真:© European Union, 2023)

この工事に関する情報の不透明性も、国内で批判の声が高まる要因の1つとなっている。ノヴィサド駅の改修は、中国政府が進める「一帯一路」構想の一環としてセルビアの鉄道インフラをアップグレードする計画の一部に組み込まれ、2021年からスタートした。当局は、改修工事はヨーロッパ基準を満たしたものだったと説明している。

しかし、中国のセルビアへの投資、とくにインフラや鉱業に関する活動では、しばしばその不透明さに対する論争が巻き起こっている。

今回事故があったノヴィサド駅の改修工事に関連する文書は、内容がすべて機密扱いと報じられている。2021年に出された建設許可では、駅のどの側面が再建されるかについての具体的な記載がなく、透明性に関する懸念が生じていた。「ノヴィサド駅の地下道と天蓋の拡張に適応するための建築プロジェクト」と題された資料には、多数の補足資料が含まれていたものの、詳細な説明が欠けていたことが分かっている。

中国―欧州貨物列車は好調だが…

何もやましいことがないのであれば、情報を開示すれば疑惑はすぐに晴れるであろうが、こうした点が中国に対する不信感の増大と、今回の事故に対する疑惑に拍車を掛けている。

一帯一路構想の下、中国は参加国への投資を積極的に行い、その中核となる中国とヨーロッパを結ぶ貨物列車、トランス=ユーラシア・ロジスティクス(中欧班列)は東西間の物流で大きな効果を上げている。

中欧班列 コンテナ列車
ポーランド国内を走る中国行きのコンテナ貨物列車(撮影:橋爪智之)
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